妻と娘の命「無駄にしない」 池袋暴走事故の遺族男性、再発防止訴えた2年

妻と娘の命「無駄にしない」 池袋暴走事故の遺族男性、再発防止訴えた2年
妻と娘の命「無駄にしない」 池袋暴走事故の遺族男性、再発防止訴えた2年
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東京・池袋で高齢運転者の車が暴走し、3歳の女児とその母を含む12人が死傷した事故は19日で発生から2年となる。事故は高齢者の運転のあり方をめぐる議論に発展し、免許自主返納の増加に拍車をかけた。だが、事故を起こした被告は「車の異常」を訴え続け、無罪を主張。高齢ドライバーによる事故も後を絶たない。遺族は絶望に加え、悔しさや、やり切れない思いを抱えながら、地道な活動を重ねている。(吉沢智美)

「いまだに夢を見ているようだ」。妻の真菜(まな)さん=当時(31)=と長女の莉子(りこ)ちゃん=同(3)=を失った松永拓也さん(34)は、この2年の年月を、こう振り返る。

事故を機に、周辺の状況が一変、昨年10月からは裁判も始まった。「真実が知りたい」。そう望んだが、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)は謝罪の言葉を述べたものの、事故の原因は車の異常だとして過失を否定した。

「2人の命と遺族の無念に向き合っていない」と感じた。涙があふれ、どうあがいても2人が帰ってこない事実にむなしさも覚えた。今月27日には、被告人質問も予定されている。

だが、裁判から目をそむけるつもりはない。捜査や司法への協力を通じ、高齢運転者をめぐる動きにかかわることが、「2人の死を無駄にしないことにつながる」と考えるようになったからだ。

今後どう生きていくべきか、自分も何かできないか。そう悩む中、「関東交通犯罪遺族の会」(あいの会)に入会し、同じような境遇の人たちと言葉を交わしたことで、心がほぐれ、自分は独りではないことを確認できた。

「真っ暗な道を少しずつ照らしてもらえた」。その後は国土交通省へ事故減に向けた要望書を出し、犯罪被害者の裁判参加などの際に、勤務先に特別休暇の付与を義務付ける制度の確立も厚生労働省に求めた。「再発防止の足がかりになれば」と願う。