イランの60%ウラン製造 過去最高水準の数値にどんな意味?  - 産経ニュース

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イランの60%ウラン製造 過去最高水準の数値にどんな意味? 

イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設の遠心分離機=2019年11月(イラン原子力庁提供・AP)
イラン中部ナタンズのウラン濃縮施設の遠心分離機=2019年11月(イラン原子力庁提供・AP)

 イランが16日、濃縮度60%のウランを製造したと発表し、欧米が懸念を強めている。イランの核開発の進度やウラン濃縮についてQ&A形式で解説する。

Q 濃縮とは何か

A 天然のウランは核分裂が起きないウラン238が大部分で、核分裂しやすいウラン235は約0・7%しか含まれていない。ウラン235は比較的質量が軽いという特徴があり、これを遠心分離機で分離、抽出して濃度を高めるのがウラン濃縮だ。濃縮度3~5%のウランは原発燃料などに使われ、90%超になれば核分裂を利用した核兵器への転用が可能になる。

Q 「60%」の意味は

A 欧米など6カ国とイランの2015年の核合意はイランによるウラン濃縮の上限を3・67%と規定した。濃縮度を90%まで上げる作業全体のうち、8割以上は4%まで上げる作業が占めており、20%になると残る作業は全体の1割以下に減るといわれる。イランは今年、20%のウランを製造済みだったが、イスラエルが関わったとみられるイラン中部ナタンズの施設破壊工作への対抗措置として今月14日に急遽(きゅうきょ)、60%濃縮に着手した。濃縮度60%は90%に一気に近づく数値でイランの核開発史上、最も高い水準だ。

Q イランの主張は

A 60%のウランは放射性医薬品を作るのに使用するために製造したとし、核兵器開発の意図はないと繰り返し述べている。

 ほかにもイランは、核合意の規定を15倍近くも超える低濃縮ウランを貯蔵している。イランは核合意で規定された金融・経済取引の正常化を英仏独が履行しないことへの対抗措置だと主張しており、履行されれば合意の枠内に核開発活動を縮小するとしている。(カイロ 佐藤貴生)