首相、訪米で看板政策実績づくり 衆院解散のフリーハンド確保狙う? - 産経ニュース

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首相、訪米で看板政策実績づくり 衆院解散のフリーハンド確保狙う?

米国訪問を終え、帰国した菅義偉首相=18日午後、羽田空港(松井英幸撮影)
米国訪問を終え、帰国した菅義偉首相=18日午後、羽田空港(松井英幸撮影)

 菅義偉(すが・よしひで)首相の今回の訪米は、「外交」「新型コロナウイルスワクチン」「グリーン」という3つの看板政策で、秋までに行われる次期衆院選に向けた実績を積み上げ、衆院解散時期のフリーハンドを握ろうとする戦略がにじんだ。首相肝いりのデジタル改革関連法案も5月に成立する見込みで、解散に向けた環境づくりは着実に進んでいる。

 「バイデン政権は、歴代と比べても首相のパフォーマンスは非常に高いレベルだと評価している」。日本外交筋は18日、首相訪米の成果をこう語った。

 米国で新型コロナが再拡大した時期に首相訪米が重なり、日米両政府の調整は難航した。「外国要人をホワイトハウスに招いていいのかと米側はピリピリしていた」(政府関係者)という。結局、対面での早期会談に慎重な米側を日本政府が押し切る形で実現した。

 日米首脳が共同文書で52年ぶりに台湾に言及し、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区と香港の人権状況に対しても「深刻な懸念」を共有したことで、保守層にくすぶっていた「首相の外交方針がみえない」(閣僚経験者)との不満を一定程度解消した形だ。

 2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を目指す方針も改めて表明し、環境政策で後ろ向きだとされる日本のイメージの改善も図った。

 新型コロナ対策の切り札であるワクチンも、首相が直談判に乗り出した。米国滞在中、日本側からの働きかけで米製薬大手ファイザー社のブーラ最高経営責任者(CEO)と電話会談する場を設定。日本の16歳以上の全員が接種できる数量のワクチンを9月末までに確保する見通しを立てた。国内の感染状況が悪化しつつあることも踏まえ、7月に開幕する東京五輪への不安を和らげたい考えだ。

 首相の自民党総裁としての任期は9月30日まで。ワクチン接種が広がらなければ感染拡大に伴う重症化リスクは残り、解散は難しい。衆院議員の任期が満了する10月21日を半年後に控え、「ワクチン接種が早く進まなければ追い込まれ解散しかなくなる」(首相周辺)と危機感も広がる。

 首相が力を入れる「こども庁」の創設や孤独・孤立対策は「野党のお株を奪う」(政府関係者)政策でもある。首相は早期解散に慎重姿勢を保ちつつ、衆院選を戦うための武器を着実に集めているといえる。(小川真由美)