書評

『いのちとリスクの哲学 病災害の世界をしなやかに生き抜くために』 宇宙視線と生命倫理

 「震災関連死」「動物倫理」「過剰な『予防原則』」から高校新科目「公共」への哲学的覚書(著者は同科目設置の検討委員だった)まで、多様な問題群が「福島」から「コロナ」に至る「いのちとリスク」を考える哲学的な星座を構成する。その詳細な検討は本文に譲り、ここでは著者の本質的なメッセージを記すにとどめよう。

 いかなる状況下でも「宇宙視線」「人生視線」の2つの異なるレンズ倍率で眼前を凝視し沈思黙考、熟慮し続けること。「いのちを守る」ために一ノ瀬はフランシス・ベーコンを引用する。「知は力なり」と。(一ノ瀬正樹著/ミュー・2970円)

 評・伊東乾(作曲家、指揮者)

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