朝晴れエッセー

新1年生・4月15日

娘は、小さい頃から極端な恥ずかしがり屋で、外では話すことが難しかった。そんな娘が小学校に入学して間もない日の夕方、ママ友から電話がかかってきた。

「息子がね、明日、空のペットボトルを持っていかなあかん、大きいのがいるねんって言うんやけど…」。今から買いに行って今日中に2リットルを飲みきって、と焦って電話をかけてきたそうだ。

この時期の1年生は、日々の連絡はまるで伝言ゲームのようだった。娘に聞いてみた。「先生は、来週に小さい500ミリリットルのペットボトルを持ってきてくださいってゆうてた。朝顔の種まきをするから、水やりに使うんだって」

それを友人に伝えると「ちゃんと聞いてて偉いね。助かったわ。ありがとうって言うといてね」とほっとした様子だった。

娘に褒めてくれていたことを話すと「私はね、しゃべるのはあんまりだけど、聞くのは上手なんです」と言う。自分のことをこんなに正確に、しかも前向きにとらえているなんて、と感心していたら、さらに「…って、先生が言ってた」と続いた。

「先生が…」。思いをめぐらせていると、娘は「うん。みんなの前でゆうてはった」と。先生のご配慮に胸がいっぱいになった。「この子はきっと大丈夫」。そう思えた。

その後、娘は「聞くのが上手な子」として友達も増え、少しずつ話せるようになっていった。

今年も学校や会社など、あちこちに1年生がいる。どの子も、どの人も、誰もが温かい目に守られて健やかに成長しますように、と願っている。

山本俊恵 55 大阪府八尾市