2021年本屋大賞に町田そのこさん「52ヘルツのクジラたち」

2021年本屋大賞に選ばれ、記念撮影に応じる「52ヘルツのクジラたち」の著者の町田そのこさん(中央)=14日午後、東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)
2021年本屋大賞に選ばれ、記念撮影に応じる「52ヘルツのクジラたち」の著者の町田そのこさん(中央)=14日午後、東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)

 全国の書店員が最も売りたい本を投票で選ぶ「2021年本屋大賞」が町田そのこさん(41)の「52ヘルツのクジラたち」(中央公論新社)に決まり、14日発表された。

 受賞作は、自らの過去を断ち切るために東京から大分県の海辺の町に移り住んできた女性と、親から虐待を受けて言葉を発せなくなった少年の交流を描く。児童虐待やトランスジェンダーの問題などで心に傷を負った人々の声なき声が響きあう痛みと再生の物語。昨年4月の刊行で累計部数は34万部に達している。

 町田さんは平成28年に「カメルーンの青い魚」で「女による女のためのR-18文学賞」の大賞を受賞。翌年に同作を収めた「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」で単行本デビューを飾った。初めて書いた長編で本屋大賞に選ばれた。

 町田さんは14日に都内で行われた授賞式のスピーチで「新型コロナの感染が拡大する中、無名に近い私の本がどこまで頑張れるか不安だったが、たくさんの人の力でこの本はどんどん大きくなっていった」などと振り返った。その上で「(受賞者に)錚々(そうそう)たる先生方が名を連ねる賞で喜びよりもプレッシャーが大きい。背筋を伸ばして精進していきたい」と抱負を語った。

 候補の10作品に入っていたアイドルグループ「NEWS」の加藤シゲアキさんの「オルタネート」(新潮社)は8位で、大賞受賞を逃した。

 翻訳小説部門1位は米国のディーリア・オーエンズさんの「ザリガニの鳴くところ」(友廣純訳、早川書房)。

 本屋大賞の順位は以下の通り(敬称略)。

 (1)町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」(中央公論新社)(2)青山美智子「お探し物は図書室まで」(ポプラ社)(3)伊吹有喜「犬がいた季節」(双葉社)(4)伊坂幸太郎「逆ソクラテス」(集英社)(5)山本文緒「自転しながら公転する」(新潮社)(6)伊与原新「八月の銀の雪」(新潮社)(7)凪良ゆう「滅びの前のシャングリラ」(中央公論新社)(8)加藤シゲアキ「オルタネート」(新潮社)(9)宇佐見りん「推し、燃ゆ」(河出書房新社)▽(10)深緑野分「この本を盗む者は」(KADOKAWA)

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