任期満了に伴う知事選(6月3日告示、20日投開票)への独自候補擁立を目指す自民党県連は14日、岩井茂樹参院議員(52)=静岡選挙区=を擁立する方針を党本部に報告した。同党県連は、15日の役員会で県連一丸となって岩井氏を支援すると確認し、選挙態勢の構築に乗り出す。
静岡県知事選には、現職の川勝平太氏(72)が4選を目指して無所属での出馬を表明しており、立憲民主党と国民民主党の県連が支援する。自民党県連の方針が固まったことで、知事選はリニア中央新幹線工事に伴う水問題を最大の争点に、着工を認めていない川勝氏と、事業推進を訴えるとみられる岩井氏との事実上の一騎打ちになりそうだ。共産党県委員会は「党として候補者の擁立は考えていない」と表明している。
岩井氏は14日、国会内で記者団に知事選出馬の意向について問われ「まだ現段階ではコメントする状況じゃない」と述べるにとどめた。しかし周囲には立候補への意欲を打ち明けている。
自民党県連の上川陽子会長らは14日午後、党本部で二階俊博幹事長らと会談し、15日の県連役員会で岩井氏擁立の方針を打ち出すと報告した。国土交通副大臣でもある岩井氏の出馬により、参院静岡選挙区の後任選びが不可欠になること、知名度の高い川勝氏が相手では苦戦が予想されることなどから、党本部内に慎重論は根強いものの、最終的には県連の意向を尊重する考えだ。
関係者によると、候補者の1人とみていた浜松市の鈴木康友市長出馬の見込みが薄くなった今月上旬、岩井氏が浮上。岩井氏が13日までに、出馬の意向を持っていると県連側に伝えたという。
川勝氏はリニア工事について、大井川の水資源への影響を心配して着工を認めておらず、事業を推進したいJR東海と対立している。国交副大臣を務める岩井氏が出馬すれば、国策であるリニアを推進する立場から川勝氏との対決姿勢を鮮明にするとみられる。