免許返納後の選択肢 電動モビリティーが支える新生活

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 高齢社会の進展で課題となる高齢者の交通手段で、運転免許証を返納した人たちの車の代替手段として電動カート(ハンドル型電動車いす)や電動アシスト付き三輪自転車といった電動モビリティーのニーズが高まっているという。

スタイリッシュな製品も

 電動カートのレンタル・販売を行う「セリオ」(本社・静岡県浜松市)の松山営業所(松山市)。電動カートや、電動アシスト付き三輪自転車などがずらりと並んでいる。同社で四国地区を担当する児玉哲洋課長は「免許を返納してもまだまだ元気な方が多く、状況に応じて電動アシスト付き三輪自転車や電動カートを選ぶなど選択肢が増えている。スタイリッシュな機種も出てきていて、90代まで『アクティブシニア』として外出を楽しめるようにしたい」と話す。

 セリオによると、電動アシスト付き三輪自転車などの電動モビリティーは出荷台数が増加。同社は3月、親会社から電動カート「遊歩フジ」の製造事業を譲り受け、全国の営業ネットワークをフル回転させて普及に本腰を入れている。

 背景にあるのが、免許の自主返納の動きだ。

 警察庁によると、運転免許証の自主返納は令和元年、60万1022件に達し、前年よりも17万9832件増えたという。75歳以上も35万428件(前年比5万8339件増)となり、いずれも過去最多を更新した。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で高齢者が外出を控えたこともあってか前年より減少したが、高齢者運転に関連した重大事故も起きており、免許返納への関心は高い。

 セリオ営業推進部の善本俊夫課長も「65~75歳の免許返納者はここ10年で12倍になっており、特に75歳以の返納者が多くなっている」とした上で、電動モビリティーの普及は自主返納が拡大している社会状況が背景にあると指摘する。

「買い物に行った」と笑顔

 電動カートは家庭のコンセントから充電でき、最大航続距離は28キロ。時速は0・5キロ~6キロで利用者が設定する。道路交通法上は歩行者の扱いとなり、歩道を走ることができる。

 善本課長は「介護保険のレンタルで使われ、ケアマネジャーは知っているが、一般にはまだ情報が行きわたっていない」としており、免許返納者の買い物や散歩といった移動支援のツールとして、一層の普及を図りたい考え。同社では今年、電動カート「遊歩フジ」について2千台の製造を予定しているという。

 同時に力を入れているのは利用者の安全だ。利用前に安全運転指導を徹底し、利用開始後も購入、レンタルを問わず毎月、担当者が自宅を訪問し、定期点検を行っている。

 児玉課長は「『買い物に行った』と笑顔で話す人を見てこちらもうれしくなる。家族にも喜んでもらえる」と話していた。

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