懲戒請求書公表は「著作権侵害」 ゴーン被告の元弁護人敗訴 東京地裁

東京地裁が入る建物(今野顕撮影)
東京地裁が入る建物(今野顕撮影)

レバノンに逃亡した日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)の弁護人を務めていた高野隆弁護士が、自身のブログに懲戒請求者の実名や懲戒請求書の内容を無断で公開したとして、東京都内の男性がブログ記事の削除などを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。佐藤達文裁判長は著作権の侵害を認め、高野氏にブログから請求書の文書ファイルを削除するよう命じた。

判決理由で佐藤裁判長は、実名公表をプライバシー権の侵害とする男性側の主張を退けた上で、請求書について、「『弁護人の関与なしに被告人が逃亡し得るのか』という疑問など、作成者である原告の個性が発揮されており、著作物に該当する」と認定。請求書が公表されておらず、文書全体の引用が必要な事情も認められないとして、「原告の公衆送信権と公表権を侵害した」と結論づけた。

判決などによると、高野氏はゴーン被告逃亡後の昨年1月、日本の司法制度に問題があるとして「(逃亡を)全否定することはできない」などとブログに投稿した。男性は「自身が管理監督する立場にいながら、違法行為を肯定する発言だ」として第二東京弁護士会に懲戒請求書を提出。高野氏は同2月、懲戒請求に対する反論文とともに、請求書を複製した文書ファイルをブログに掲載した。

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