首相、15日に訪米出発 米の対北政策見直しで日本の立場反映目指す - 産経ニュース

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首相、15日に訪米出発 米の対北政策見直しで日本の立場反映目指す

 菅義偉首相は15日、米国に向け政府専用機で羽田空港を出発し、現地時間16日午後(日本時間17日未明)にバイデン大統領と会談する。対北朝鮮政策にこだわる首相は、拉致問題の解決や短距離弾道ミサイル発射を重視する立場を伝え、バイデン政権が進める対北政策の見直しに反映させたい考えだ。北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射を準備する動きも見せており、訪米中に発射されれば会談でのやり取りにも影響を及ぼしそうだ。

 首相は会談で、拉致問題の解決が菅政権の最重要課題であることを米側に印象付けることを狙う。安倍晋三前首相とトランプ前大統領の蜜月関係が築かれるまで、米国務省内では拉致問題が核放棄交渉の「障害」とみなされていると日本側は受け止めてきた。

 ブリンケン国務長官は3月の来日時に拉致問題解決を願う「ブルーリボン」バッジを身に着けていた。日本側は「拉致問題が日本にとっていかに重要か、アジア外交のプロがアドバイスしたのだろう」と推測するが、首脳レベルでも拉致問題を中心課題とするためにダメ押ししたい考えだ。

 「日朝平壌宣言を踏まえ、これを原点としてしっかり取り組む」

 首相は13日、自民党議員と官邸で面会した際に訪米についてこう説明した。平壌宣言は拉致・核・ミサイルの問題の解決とともに「過去の清算」も含まれており、国交正常化後の経済援助を呼び水に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との直接交渉を目指す。

 ただ、バイデン氏はトランプ氏と異なり、金総書記との直接対話に前向きな姿勢を示していない。国家安全保障会議(NSC)のインド太平洋調整官に就任したキャンベル氏は政権発足前に米朝首脳会談を高く評価していたが、バイデン政権の中では必ずしも多数派ではないと日本側は見立てる。

 日本にとって最悪の事態は、核・ミサイル開発の進展を看過したオバマ政権の「戦略的忍耐」への逆戻りだ。トランプ政権後期に米本土に届かない短中距離弾道ミサイルを問題視しなかったことも、日米両国を離間させる要因となり得る。

 バイデン氏は北朝鮮が3月25日に発射した短距離弾道ミサイルについて国連安全保障理事会決議違反であると明言したが、改めて念を押すことも首相に課された役割といえる。(杉本康士)