経団連は13日、新型コロナウイルス感染防止指針の一部を改定し、トイレなどで洗った手を乾かす「ハンドドライヤー」の使用を再開すると正式発表した。各種の実験でハンドドライヤーの利用がウイルスや菌を飛散させないことを科学的に確認したとしている。経団連の指針はオフィスや工場などが対象だが、商業施設や飲食店などの業界団体も準拠した運用方針をとるため、ハンドドライヤーの使用再開が進むことになりそうだ。
経団連は、政府の要請を受け、オフィスと工場などを対象にした感染防止の指針を昨年5月に策定。医療関係者からの意見を踏まえ、ハンドドライヤーの使用停止を盛り込んだ。
だが、使用が感染を広げるという根拠は乏しいとの指摘が寄せられたり、TOTOや三菱電機といったメーカーなどから再度使用是非の判断を行うよう求められたりしたため、経団連は外部の研究機関などに評価試験を依頼。同試験ではハンドドライヤーの手を入れて乾かす部分から菌が飛散して周囲で浮遊する菌数が増加することはないことなどが確認された。
これを受け、経団連は政府や専門家の了承を得た上で、定期的な清掃や消毒を前提に使用を再開するよう指針を13日付で改定した。
経団連の指針は、オフィスなど新型コロナの有症者がいない、管理された施設を前提にしている。このため不特定多数が利用する商業施設などでは使用再開前に検証作業が必要になる。