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熊本地震5年 進む鉄道復旧、名物のスイッチバックも健在

 スイッチバックの途中にあるのが、立野駅だ。進入してきた列車は逆方向に発車するため、運転士は運転席を移動する。駅舎もない無人駅だが地元にはなくてはならない存在で、一定数の利用はあるようだ。大分方面行きの2両編成の普通列車に乗り込むと、勾配をゆっくりと上り、行き止まりまで進むと再度、方向転換。運転士は車内を歩いて運転席を移り、また列車は坂を上がる。この区間も線路が流されるなどの被害を受けた。線路の敷石がまだ新しいことで、被災後に敷き直したことが分かる。

 この駅から分岐するのが第三セクターの南阿蘇鉄道。現在、立野-中松間の10キロ余りが不通となっており、列車が来ないホームに人影はなく、線路は荒れ放題になっている。路線の起点を示すゼロキロポストが花に埋もれた光景は、時が止まっているかのようだ。全線開通には橋の架け替えが必要で、復旧工事を4年度中に終え、5年夏の復活を目指す。

「ななつ星」も運転再開

 JR豊肥線の全線開通で観光復興にはずみをつけた阿蘇地区に、この春、もう一つうれしい出来事があった。

 新型コロナウイルス感染拡大のため1月から運休していたJR九州の豪華クルーズ列車「ななつ星in九州」が、3月9日に3泊4日コースで運転を再開したのだ。JR豊肥線にも乗り入れ、2日目の10日朝、阿蘇駅を発車するシーンが戻った。出発を見送りに来た子供らの姿もあり、華やいだムードに包まれた。

 コロナ禍の影響もあり、人々の暮らしや観光客の足が地震前に完全に戻ったわけではない。だが鉄道をはじめとする交通インフラの復旧で、地域の復興は着実に進んでいると感じられた。

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