「大規模盛土造成地」で起きた東日本大震災の知られざる被害 

震災直後の折立5丁目、本来まっすぐな坂道は地滑りで左側に歪曲している=平成23年3月25日
震災直後の折立5丁目、本来まっすぐな坂道は地滑りで左側に歪曲している=平成23年3月25日

東日本大震災で津波以外に最も大きな被害を受けたのが、傾斜地に造成された宅地「大規模盛土造成地」だった。国土交通省は昨年、全てに危険性があるわけではないとしながら、全国に5万1306カ所あると公表。激甚化する災害で地盤災害は頻発しており、専門家は地盤を知ることの重要性を指摘する。(石田征広)

「日本一安全な団地になったよ」。真新しい住宅が立ち並ぶ仙台市青葉区折立5丁目に震災前から住む安達光男さん(80)は、自宅の周囲を見渡しながら感慨深そうに話した。

同地区は昭和48年、東北自動車道仙台宮城インターチェンジの西隣にある蕃山(ばんざん、356メートル)の北側斜面に造成された。住宅は傾斜地の「擁壁(ようへき)」に囲まれた土台の上に段々に建てられ、5丁目は「く」の字状のかつての沢の上に位置していた。

震災の激しく長い揺れによって、造成前の地盤「地山」と、その上の「盛土」の境界面で、水が媒介した「滑動崩落」という地滑りが発生。宅地約2・5ヘクタールが深さ約8メートルの盛土ごと最大約2・5メートル滑り落ちた。

造成地内の水抜きが不十分だったのが原因とみられ、土台を失った住宅は1階部分が壊れ、大きく傾いた。折立5丁目の住宅全60戸中43戸が全壊判定を受け、震災で5728カ所にも達した仙台市内の宅地の地滑りで、最大規模の被災地となった。

同地区を調査した東北工業大の千葉則行名誉教授(地盤地質学)は「仙台市は西側の内陸に行くほど古い地層で地盤が固く振動が小さくなる特徴がある。折立地区を含む東北道西側の大規模盛土造成地の滑動崩落は東日本大震災が初めてだった」と明かす。