ブロックチェーンによるエネルギーの大量消費を解消できるか:動き出したイーサリアムと「PoS」の潜在力

そしてこうした問題を解く際に、これらの(かなり高価な)コンピューターが大量のエネルギーを消費する。ビットコインの台帳を改ざんしようとする意欲をくじき、代わりに協力を促すことを意図したシステムと言っていい。

動き出したイーサリアム

だが、ケンブリッジ大学オルタナティブ・ファイナンス・センター(CCAF)によると、電力に基づくこうした「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」と呼ばれる奨励システムが原因で、ビットコインのマイニング(採掘)は年間133.65テラワット時を消費しているという。

これはスウェーデンやウクライナといった国の年間消費電力よりも多い数字だ。ケンブリッジ大学が2020年に発表した報告書では、そのうち再生可能エネルギーが占める割合は39%にとどまっている。CCAFの研究員であるマイケル・ラウクスによると、ビットコインの成功によってPoWが仮想通貨の「業界標準」として定着したという。

NFTの大部分が生み出され、また取引されているプラットフォームは、世界第2位の取引量を誇るEthereum(イーサリアム)である。イーサリアムも15年の立ち上げ時にPoWを採用しているが、仮想通貨界のアーティストの良心の呵責はここに起因している。

ある試算によると、イーサリアムでNFTが1回販売されるたびに、8.7メガワット時という大量の電力が消費される。これは英国の平均的な家庭の年間消費電力の2倍以上である。

だが、そうした状況も変わっていくかもしれない。イーサリアムは目下、エネルギー消費を抑えながらPoWの安全性を確保するシステムへと置き換えるべく、大改修を進めている。PoWからの移行の動きは各所で見られるが、イーサリアムの改修がうまくいけば、そうした動きに拍車がかかり、仮想通貨のカーボンフットプリントや浪費を減らせる可能性がある。

この仕組みは「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」と呼ばれる。PoWは現実世界のハードウェアやエネルギー消費に支えられているが、これに対してPoSの有効性の根拠となるものは仮想通貨の知覚価値(この場合はイーサリアムのイーサ)であり、ゲーム理論におけるトレードオフである。

マイニングノードは、バリデーター(承認者)に置き換えられる。バリデーターは、ネットワークに参加するための保証金としてかなりの額(現在は32イーサ=38%2C000ユーロ以上、約491万円に相当)を支払わなくてはならない。この保証金(すなわち「ステーク」)には時間とともに利子がつくので、バリデーターにとってのインセンティブになる。

また、数学的な問題を解く競争に代わるものとして、トランザクションを検証するバリデーターをランダムに割り当てるアルゴリズムが存在する。この仕組みではネットワーク参加者の3分の2が承認すれば、トランザクションが確定される。正規ではないトランザクションを承認しようとしたり、不正を働いたりするバリデーターには罰金が課される(罰金はステークから支払われる)。最も深刻な場合にはステークが全額没収され、ネットワークから遮断される。

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