鑑賞眼

「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」 しみじみ「日常」味わう

【鑑賞眼】「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」 しみじみ「日常」味わう
【鑑賞眼】「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」 しみじみ「日常」味わう
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 「スヌーピー」などの愛らしいキャラクターで世界的人気を博した新聞漫画「ピーナッツ」の登場人物が活躍するブロードウェーミュージカルが4年ぶりに再演された。声高に何かを叫んだり感情を揺さぶったりする作品ではないが、しみじみとした味わい深さに独自の魅力がある。

 チャーリー・ブラウンに「Da-iCe」のボーカル兼パフォーマーとして活躍する花村想太を配し、前回「人間味あふれるも確かにスヌーピー」と観客をうならせた中川晃教が再びスヌーピーに。ライナスには進境著しい岡宮来夢、ルーシーに宮澤佐江、サリーに林愛夏、シュローダーに植原卓也と個性ある実力派をそろえた。

 いわゆる大型ミュージカルの盛り上がりや派手さを求めると、肩透かしを食らう。チャーリー・ブラウンとその周りの人物(と犬)の何気ない、でも本人にとっては事件に満ちた日々が、パッチワークのようにつむがれていく展開。背景に置かれたパネルは漫画の「コマ」のようで、新聞連載を意識したつくりだ(美術=松井るみ)。

 「子供」を演じているミュージカルながら、楽曲は子供向けではない。しかしそこは歌に定評ある花村のこと、よく響く気持ちの良い歌声で、チャーリー・ブラウンの喜怒哀楽を表現。中川の「サパータイム」は、自由気ままなスヌーピーの面目躍如、その動きからも目が離せない。

 女性陣は高音部まで地声で歌い上げる子供らしい歌唱を求められ、さぞ苦労しただろう。宮澤のルーシーは、憎めない愛らしさをうまく出し安定感も抜群。圧巻だったのはサリー役の林。劇団四季「ライオンキング」のヤングナラ役を始め歌唱力には定評があるが、役作りもいい。ミュージカルでのますますの活躍を望みたい。

 最年少22歳の岡宮は、あどけない表情と大人っぽい雰囲気のギャップが魅力的。ルーシーといるときの「弟」感が足りなく思えたのは、本人の持ち味か、姉に振り回されて大人びてしまった役作りか。植原は独自の世界を持つシュローダーにはまり役。この規模の作品では珍しい生バンドの演奏もうれしい。