東京、大阪の近県で局所的に感染急増 重点措置区域さらに拡大も

 蔓延(まんえん)防止等重点措置区域の申請を検討している東京都に近接する千葉、埼玉、茨城の3県の市町村でも局所的に感染者が急増していることが政府のデータで分かった。大阪に隣接する奈良や和歌山などでも感染が拡大。県全体の感染者数は必ずしも多くないが、東京や大阪の近接自治体は、市町村単位の局所的な感染状況も考慮に入れなければ同措置の適用時期を見誤る可能性がある。(荒船清太)

 政府の感染情報共有システム「HER-SYS」(ハーシス)を基に政府が示した直近1週間(3月29日~4月4日)の保健所管轄区域単位の人口10万人当たり感染者数の分析で分かった。各機関から遅れて報告が入るケースもあり、実際の数はさらに多い可能性がある。

 データによると、東京やその周辺で直近1週間の10万人当たり新規感染者数が感染拡大のステージ4(爆発的感染)を示す25人を超えたのは新宿区など都内10区のほか、千葉の勝浦市などを管轄する夷隅(いすみ)保健所管内と、茨城の古河市などを管轄する古河保健所管内だった。

 ステージ3(感染急増)を示す15人を超えたのは東京が世田谷区など13管内、埼玉が4管内、千葉が1管内。近接はしていないが、栃木県も2管内がステージ3を超えた。ステージ3に迫る10万人当たり10~15人の地域もステージ3、4の地域や東京からの鉄道路線の沿線を中心に前週(3月22~28日)より拡大した。

 大阪に隣接する自治体でも感染が急増している。

 奈良市では直近1週間の10万人当たり感染者数が25人を突破。前週は同5~10人だった和歌山市でも同15人を超えた。大阪府内は、東大阪市など同措置の対象に指定されていない地域でも同50人を超えている。

 県全体の感染者数は奈良を除く千葉、埼玉、茨城、和歌山の4県ではステージ3に達していないが、局所的には同措置が適用されている大阪や兵庫の一部地域と感染者数が同水準となっている。

 蔓延防止等重点措置は罰則付きの時短営業の命令などの対策を市区町村単位で局所的に取れる。地域を限定するほど早めの措置適用が可能となるため、今後はより地域を限定した同措置適用が広がる可能性もある。

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