聖火リレー つなぐ想い

角館から競技普及の願い込め

スケートボードを愛する菊地利佳さん。経営するカフェの隣に屋内練習場を設けた=秋田県美郷町(八並朋昌撮影)
スケートボードを愛する菊地利佳さん。経営するカフェの隣に屋内練習場を設けた=秋田県美郷町(八並朋昌撮影)

秋田 人力車を引くプロスケートボーダー 菊地利佳さん(36)

 秋田県を代表する観光地・角館で新緑の武家屋敷通りなどのコースを走る。「いつも人力車で案内している角館の歴史や魅力を、聖火をつなぐことで改めて発信したい」

 7年前に結婚し、宮城県東松島市から夫、直矢さん(35)の実家がある秋田県美郷町に。同時に義父が仙北市で営む「角館人力社」を手伝い始め、その2年後から夫にならって人力車を引いている。

 「人と接するのが好きなので、お客さんを乗せるのが楽しく、町の人とも顔なじみになった」という。身長149センチと小柄で「申し訳ないよ」と乗るのをためらう客もいるが、力強い走りと親切な案内ぶりに満足して帰っていく。

 聖火リレーには、もう一つの思いを込める。東京五輪で正式種目になったスケートボードの秋田での普及だ。「学生時代にスノーボードとスケボーにのめり込んで夫とも知り合い、結婚後はスケボーに専念してプロを目指した」

 自宅に併設する「カフェ バンガロー」の隣に昨春、かまぼこを逆さにしたスノボのハーフパイプのような形で「ランプ」と呼ばれる長さ8メートル、幅4メートルの設備がある屋内練習場を開設した。「雪深くスケボーができない秋田の冬を克服したいと言ったら、夫が1年がかりで手作りしてくれ、講習会も開いています」

 競技の最高成績は、まだ男女混合だった東北予選での決勝進出。18歳ごろだった。それでも昨年、名古屋のスケートボードメーカーがスポンサーになってくれた。

 「世界レベルではなくても子供ができ、30代半ばになってもスケボーを続ける姿勢を認められたんです」。プロとなったことで背中を大きく押され、思いを新たにした。

 「大人になっても、雪が多くても、スケボーを続ける私の姿を見てもらうことで、秋田での普及につなげたい」。この思いを胸に、リレーではスケボーをリサイクルした髪飾りを着けて走る。

(八並朋昌)

菊地利佳(きくち・りか)】 昭和60年、宮城県東松島市出身。同県の石巻市立女子高(現桜坂女子高)を経て福島大教育学部卒。夏と冬には富山や宮城の山でアルバイトも。保健体育の中高教員免許を持ち、東日本大震災後、郷里で小学校補助教員を3年間務めた。夫と長男(4)の3人暮らし。

会員限定記事会員サービス詳細