みずほ銀行で2月末から相次いだシステム障害は、運営側とシステム供給側の双方に原因があった。みずほはATM(現金自動預払機)障害については3月1日の段階でみずほ側の非を認めていたが、今回の会見では、12日に発覚した外貨建て送金をめぐる障害についてシステム構築を請け負った日立製作所側の不備を指摘。多様に広がるミスの原因は、問題をより複雑かつ深刻にさせている。
「(日立が提供するディスク装置の破損が)みずほだから故障したという認識はない」。みずほ銀を傘下に持つみずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は5日の会見でこう強調した。
ただ、今回の一連の障害にも、みずほの基幹システムの複雑な構造という固有の事情が影響した可能性は拭えない。
令和元年7月に稼働した現在の基幹システムは4千億円超をかけて開発されたが、システム構築には日立だけでなく、富士通や日本IBMなど複数のシステム供給元が関与した。この複雑さが「障害に関与した可能性は依然、否定できない」(社会情報大学院大学の白井邦芳教授)との声もある。
みずほが以前に2度起こした大規模障害も、前身である第一勧業、富士、日本興業の3行の牽制(けんせい)関係を解消できず、それぞれが利用する富士通、日本IBM、日立のシステムを存続させたことが主な原因だった。他のメガバンクである三菱UFJ銀行と三井住友銀行は合併時に運営効率化のためにシステムを一本化している。
他行ではめったに起きないような障害がみずほで起きる事情について、坂井氏は「システムそのものだけではなく、開発や運用でもさまざまな問題がある」と認めた。根本的な原因究明は難航も見込まれる。
ただ、情報技術(IT)や人工知能(AI)が加速的に金融業と結びつく中、不正アクセスなどシステムの保守・点検にかかわるリスクも大きくなっており、対応は待ったなしだ。原因究明と再発防止を誤れば、4度目の大規模障害が起きかねない。(西村利也)