【児童書】『たいくつなにちようび』MICAO作・絵 針と糸で生み出すワクワク - 産経ニュース

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児童書

『たいくつなにちようび』MICAO作・絵 針と糸で生み出すワクワク

 ものすごくたのしみにしてたおやすみのひが、きゅうにがっかりなことになっちゃった-そんな傷心の男の子の前に現れる謎の少女、ステッチさん。取り出したシーツと裁縫道具を使って、ステッチ(刺繍(ししゅう))でサーカスのテントを描いて出現させる。

 テントの中で躍動するのは、ステッチで生み出された火の輪をくぐるライオンや、空中ブランコに乗るウサギ、犬、かいじゅうなど。左右見開きを埋める犬の顔のアップはおかしくもあり、網目の細かさに驚きもある。

 少年とステッチさん以外のほとんどの「絵」は、ステッチで構成された絵本。絵とは違った独特の立体感から温かみを感じるのは、糸が持つ柔らかさと作者の手仕事感ならではだ。

 そして、この絵本が針と糸でつむがれたことに、考えさせられる。あれもこれもない、できないと嘆くより、手近にあるものでも、工夫しだいでワクワクする時間を過ごすことができる。物語はそんなメッセージを感じる結び方になっている。 (理論社・1595円)

 渡部圭介