主張

わいせつ教員 復帰させない法整備急げ

 文部科学省が令和3年度から、懲戒免職となった教員の処分理由を官報に掲載する制度をスタートさせた。教育委員会や私立学校が教員を採用しようとする際に、応募者がわいせつ行為などで処分されていないかを確認できるようになる。

 だが、わいせつ教員から児童生徒を守るには官報への処分理由掲載だけでは十分でない。当面は新制度の運用に努めてほしいが、本質的解決策でないことを踏まえ、わいせつ行為で処分された教員を教壇に立たせないための法整備に進むべきだ。

 従来の制度では、懲戒免職で教員免許が失効すると、都道府県教委が官報に氏名や本籍地などを掲載することになっていた。文科省では平成30年以降、膨大な官報情報を集約して検索できるシステムを構築し、各教委や私立学校に提供してきた。

 ただし、免職理由を記さなかったため、教員免許を再取得し、わいせつ行為の処分歴を隠して採用されるケースがあった。そこで、令和3年度からは、わいせつ行為や交通違反など免職の理由を5分類して掲載することにした。

 従来制度の下では、官報に氏名が掲載されなかった懲戒免職者が元年度までの10年間で61人もいた。うち47人がわいせつ事案だった。ずさんな運用にあきれる。

 新制度は、わいせつ教員採用に一定の抑止効果が期待できるとはいえ、教委や私立学校には検索システムを利用する義務はない。わいせつ行為の懲戒免職者を採用することも禁じられていない。

 根本的な問題は懲戒免職で教員免許が失効しても、最短で3年後に再取得できる教員免許法にある。文科省は同法を改正し、再取得できない期間を延長したり、無期限にしたりすることを検討した。だが、憲法の「職業選択の自由」に反するなどの指摘に配慮して今国会提出を断念した。

 わいせつ教員の肩を持つ非常識な声に屈したのは極めておかしい。なぜ子供たちの安全を最優先にしないのか。自由は大切だが「公共の福祉に反しない限り」と憲法に明記されており、無制限ではないはずだ。更生の観点からも児童生徒のいる教室にわいせつ教員を戻してはならない。

 与党はわいせつ教員を教育現場から排除するため、法整備を検討中だ。教職の重みを踏まえ、実効性ある方策を講じてほしい。