海外からの荷物が届かない? もしかすると「海底に沈んでいる」かもしれない

悪天候に加え、米国向け貨物の輸送量が急増していることも、事態の悪化に拍車をかけている。情報サービス企業IHSマークイットの調査によると、米国の20年12月の月間輸入コンテナ数は、前年同月に比べ30%増加している。「米国ではかつてないほどの輸入ブームが起きているのです」と、コンテナ輸送業界専門の情報提供会社SeaIntelligence Consultingの最高経営責任者(CEO)のラース・ジェンセンは語る。

このことがコンテナ不足を招いており、特に北米各地の港に空のコンテナが滞留していることでアジアでの需要に応えられない事態が起きている。このため、船会社が使い古しのコンテナを無理に使用していることも考えられる。そうしたコンテナは積み荷をロープで固定する装置に不具合や腐食が生じている可能性が高いと、法律事務所Clyde & Co.のパートナーで海上貨物関連の事案を扱う弁護士のイアン・ウッズは語る。

さらに、乗組員たちは超過勤務のせいで疲弊している。このため十分な休息がとれず、以前のようにコンテナの荷積みと固定作業を万全にできなくなっているのだという。

「パラメトリック横揺れ」の恐ろしさ

そのうえ、どの船も積み荷を満載している。「船舶の大型化と悪天候に加え、多くの船が貨物を限界まで積み込んでいるのです」と海運コンサルタントのジェンセンは言う。コンテナ船の全長はサッカー場4つ分にもなり、20フィートコンテナ(容積約30.4立方メートル)なら、縦に5~6個分の高さに積んで計24%2C000個を運べる。

こうした大型コンテナ船は、急激に横揺れが激しくなる「パラメトリック横揺れ」と呼ばれる現象を起こしやすい。激しい横揺れが原因で、いくつものコンテナがひとかたまりになってデッキや海中に転がり落ちることもある、まれではあるが、恐ろしい現象だ。

パラメトリック横揺れは、ふたつ並んだ波の間の振動周期が船の自然な揺れの周期と一致した瞬間に起きる現象で、荒天時に発生することが多い。

米国のグレンコーヴ大学のウェッブ研究所に所属する造船工学教授のエイドリアン・オナスは、この現象を「設計に起因する心臓発作」と呼ぶ。始まりに気づきにくく、やがて壊滅的な痛手を被ることになるからだ。船上でパラメトリック横揺れは、まるで突然の激しい横揺れのように感じられる。わずかな傾きがたちまち左右それぞれに最大35~40度もの揺れに変化するのだ。

コンテナ船は、ほかの船舶よりもパラメトリック横揺れの影響を大きく受けやすい。高速で海上を移動しながら貨物を運ぶように設計されているからだ。そのせいで、コンテナ船は必ずしも安定性に優れてはいないのだと、オナスは指摘する。

例えば、6段積みのコンテナ群に傾斜35度の横揺れが加われば、最上段のコンテナには猛烈な加速度がかかる。それだけの力に耐えられるほど、コンテナはしっかり固定されていないと、オナスは言う。当然、コンテナは次々に落下し始める。

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