USJ開業20年④

夢の世界支える9千人 パフォーマー貫く使命感

 夢の世界を追求する東京ディズニーリゾート(千葉県、TDR)の演出と比べると、「USJは互いにより交流を楽しめる雰囲気を作り上げてきた。従業員が来場客へ一方的にサービスを提供するのではなく、双方がその場を楽しむことでホスピタリティ(歓待)が生まれている」。従業員がふんしたゾンビから来場客が逃げ回るハロウィーンの人気イベントは、TDRにはないUSJならではの演出だ。

 ところが、来場客と従業員の距離が近く、「人の力」による演出で魅力を高めてきたことが、かえってコロナ禍の影響を受けてしまうことになった。

 USJはこれまで新卒採用やアルバイトを正社員化するなどして人材を育成してきたが、今春の新卒採用を中止。従業員の8割を占めていたアルバイトも一部の契約更新を見送った。

表情を目で

 USJでは100職種以上の約9200人(昨年末時点)が勤務し、誰かが24時間、園内のどこかで日々の運営を支えている。飲食部門の人材教育を担当する正田恵美香さん(37)もその一人だ。

 学生時代にポップコーン販売のアルバイトを始め、正社員として働く今はアルバイトのサービスを指導する立場にある。最も難しさを感じているのが、感染予防のためにマスクを着けたままでの接客だ。

 「従業員が笑顔を見せられなければ来場客に不安を与えてしまうので、目で表情を伝えられるようトレーニングしている。指導する従業員が来場客を笑顔にするところを見るのが楽しみ」と話す。

 笑うこと、泣くこと、楽しむこと…。人の根源的な営みを豊かにするのがエンタメの本質だ。コロナ禍で危機にあるテーマパークや遊園地が、どんな時代も人々を笑顔にさせることができるとき、社会に欠かせないインフラへ飛躍するに違いない。

 連載を担当したのは、山本考志、小川原咲、上阪正人です。