朝晴れエッセー

老犬を抱いたおじいさん・4月2日

今日も会いました。あの2人と。

私の家の近くには、ランナーや散歩の人々がせわしなく行き交う遊歩道があります。季節の花々が咲き、目を楽しませてくれ季節を感じさせてくれます。夏も冬も、皆自分なりの時間を過ごしています。

そんな中、ゆったりと老犬を抱いて歩いているおじいさんがいます。少し前までその犬は、のったのったとやっと歩いていました。その犬がいつの間にか抱かれての散歩です。

私が2人に会ったのは最近ですが、ずっとこの道を歩いてきたのでしょう。いくつもの会話をしてきたのでしょう。季節や風を感じ今も2人で歩いています。

2人の仲に入り込める余地はないのですが、すばらしい人生だなと思いました。

何回かお会いしているので、尊敬の念をもって会釈していますが会話したことはありません。声帯を失っている者ですから。

「おい、おじいさんから離れるんじゃないぞ」と心の中から叫んでいます。「いつまでもずっとずっと一緒にいてくれよ」と願わずにはいられません。

自分の胸に手を当て思うことがあります。あんな優しい老人になれるだろうかと。彼らはこれから先も、ずっと2人で歩き続けるでしょう。

今井明 70 東京都西東京市