シネマプレビュー

家も人生も自分の手で「サンドラの小さな家」ほか3本

【シネマプレビュー】家も人生も自分の手で「サンドラの小さな家」ほか3本
【シネマプレビュー】家も人生も自分の手で「サンドラの小さな家」ほか3本
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公開中~公開間近の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。

■「サンドラの小さな家」

長引くコロナ禍で日本でもシングルマザーの貧困が深刻化しているが、本作もアイルランドのシングルマザーのサンドラ(クレア・ダン)が主人公だ。幼い娘2人を連れ、家庭内暴力を振るう夫から逃げ出し、経済的基盤も、家も失ったサンドラが再起していく姿を描いている。

公営住宅は長い順番待ちでホテルでの仮住まいが続いていたある日、サンドラは自分で小さな家を建てることを思いつく。家を建てる土地も資金も、そして人手も足りないものだらけだったが、徐々に協力者が現れ、家の建設が始まる。そんな中、元夫の妨害にも遭い…。

シングルマザーの貧困や家庭内暴力などを扱っているが、最後には前向きになれる作品。脚本、主演を務めたダンは「希望が欲しい人、人は立ち直れると信じたい人にぜひ見てほしい」と呼びかける。

監督は、「劇団四季」をはじめ世界各国で上演されてきたミュージカル「マンマ・ミーア!」の演出を手掛け、映画版の監督も務めた英国出身のフィリダ・ロイド。

2日から東京・新宿ピカデリー、大阪・なんばパークスシネマなどで全国順次公開。1時間37分。(啓)

■「ゾッキ」

NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」などで怪演を見せる俳優、竹中直人の監督8作目。ひと目ぼれした漫画家、大橋裕之の短編漫画を複数組み合わせ、オムニバス形式の映画に仕立てた。俳優仲間の山田孝之、斎藤工(たくみ)に声をかけ、共同監督で撮った。3監督とも原作の味わいをよく生かし、おかしくて悲しくて不条理な人間の本質を弛緩(しかん)した調子で描く。その3本の短編をつないで、一つの物語として完結させた脚本の倉持裕(ゆたか)のアイデアもいい。斎藤はこれが監督3作目。山田は監督はこれが初めて。吉岡里帆、松田龍平らが出演。

2日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・ 大阪ステーションシティシネマなどで全国公開。1時間53分。(健)

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