スポーツが未来を変える

「論理的思考能力」指導の質高める 坂尾美穂講師

びわこ成蹊スポーツ大学 坂尾美穂講師(同大学提供)
びわこ成蹊スポーツ大学 坂尾美穂講師(同大学提供)

 コーチングコースには、スポーツの指導者を目指すだけでなく、教員志望の学生もいます。一般企業への就職希望者もいる。ただ、指導者のスキルや理論、目線は違う分野でも生きるはずです。

 学んでほしいのは、理論と実践の両方を身につける大切さ。理論をきちんと学び、目の前にいる指導対象によって、じゃあこの理論のこの部分を、これくらいの割合で伝えよう-と判断する。その力は実践力でしょう。相手を観察する力だったり、なぜこういう状態なのか論理的に分析する力だったり、分かりやすく理論を伝える言葉選び・文章構成といったコミュニケーションスキルだったり。そういった力が基になります。すると、ただ怒るだけとか、押し付けるだけの指導がなくなりやすくなる。相手の望む目標に近づける支援ができるようになると思います。

 そういうことができるのが、いい指導者。共通しているのは、論理的思考能力です。わかりやすく言えば「なぜ?」に関する発問や、「理由」が明確で、それに筋道が立っていることです。私自身、育成年代の指導に関わる中で影響を受け、3年間滞在したドイツで確信しました。現地でのコーチ活動中、印象に残った言葉「logisch」。頻繁に使われていました。ロジックのドイツ語です。研修コーチとしてチームに帯同時のエピソード。日曜日に試合があり、翌日に負荷をかけたトレーニングを行う。翌々日は軽めの練習かオフ。理由を尋ねると、答えが早くて。「2日目に最も疲労が現れるからだ」と。水曜日以降は次の試合に向けた準備。シーズン中に負荷をかけて身体能力を鍛えるためには、試合翌日しかないのです。この論理的思考能力に思いやりといった倫理観、察する力などの日本人の強みを加えれば、論理と感情が合致した指導ができるようになります。