その他の写真を見る (1/2枚)
架空の外国為替証拠金取引(FX)を持ちかけ現金をだまし取ったとして、大阪府警捜査2課が昨年10月から今年2月にかけ、特殊詐欺グループ9人を摘発した。グループは「必ず儲(もう)かる」などと言葉巧みに入金をそそのかしていたといい、被害者は約700人、被害総額は2億円を超えるとみられる。多くの人がだまされたのは、極めて周到な手口だった。
突然連絡つかず
「FXの自動売買システムのモニターに当選しました」
昨年4月、岐阜県に住む30代男性会社員のスマートフォンに、南太平洋の島国サモアにある投資会社という「ライズリンク」の代理店店員を名乗る男から電話があった。男は専用口座を開設して証拠金を預けるよう求めた上で、こう強調した。「元本は減りません。必ず儲かります」
男性はライズリンクのホームページ(HP)で名前などを登録し、開設した口座に約130万円を入金。男に勧められ、FX取引に必要なソフトもダウンロードした。だがその後、男とは連絡がつかなくなり、口座から出金もできなくなった。だまされたと気づいた時には、なすすべもなかった。
690人が被害
事態が動いたのは約2カ月後。別の詐欺事件で関連先を調べていた府警捜査員が、大阪・ミナミにあるオフィスビルの一室でグループのメンバーを発見。家宅捜索で押収した資料から、犯行が浮上した。
昨年10月、府警は男性に対する詐欺容疑で、実行犯とみられる自称FXトレーダー、庭瀬翔太容疑者(28)ら男女6人を逮捕=うち5人は同罪で起訴。今年2月には同容疑で、グループのトップで指示役とみられる米元志郎容疑者(28)と、ナンバー2の鈴木淳一容疑者(39)も逮捕し、いずれも同罪で起訴された。府警はグループのメンバーは十数人はいるとみて調べている。