鑑賞眼

OSK日本歌劇団「春のおどり」 晴れやか桐生トップ最後の舞台

桐生は1997年、OSK入団。2003年の劇団解散、団員有志による「OSK存続の会」を経て、劇団活動が再開されるまでの厳しい時代を知る、最後のトップスターだ。女優、京マチ子(1924~2019年)らを輩出した劇団の、歴史をつないだ功労者の一人であり、来年の創立100年には欠かせない存在だ。

続く「Victoria!」(荻田浩一作・演出)は、春らしい洋物レビュー。オープニング、桜の花びらをまとったようなピンクの衣装で出演者が勢ぞろいする姿がまぶしく、一気に別世界に引き込まれる。目を引くのが3階構造の巨大セットで、セリや回り舞台も駆使した高さのある演出が華やか。宝塚歌劇団出身の荻田は表現の引き出しが多く、大劇場の使い方もうまい。都会的なカジノの場面や、インド風の群舞、恒例のラインダンスなど、「ダンスのOSK」にふさわしく、息もつかせぬ踊りの連続で楽しませる。

身長175センチの桐生のダイナミックな踊りと、安定した歌唱力は別格で、舞台のどこにいても目が行く。出ずっぱりのハードな作品だが、桐生が最後まで満面の笑顔を絶やさないのは、コロナ禍で公演が延期され、やっと東西で節目の公演ができた喜びにあふれているからなのだろう。入場を制限した客席からは、何度も大きな拍手が送られていた。

そしてすでに風格を備える新トップの楊以下、娘役の舞美りらの優美な踊り、スター性抜群の虹架路万(にじかけ・ろまん)、歌唱力に秀でた愛瀬光(まなせ・ひかる)ら、次代のスターも育ち、世代交代して迎える来年の創立100年への期待が高まる、王道のレビューだった。

OSKは最近、動画配信に乗り出し、大阪・心斎橋に劇団専用の公演スペース「OSK Revue Cafe」を開場するなど、活動が多様化している。本拠地・大阪だけでなく、東京でも新たなファン獲得と定着のため、定期的な公演を望みたい。3月26~28日、東京・東銀座の新橋演舞場。(飯塚友子)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。