【主張】楽天と中国企業 経済安保上の懸念消えぬ - 産経ニュース

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楽天と中国企業 経済安保上の懸念消えぬ

 楽天に対する中国IT大手、騰訊控股(テンセント)子会社の出資が3月31日に完了した。楽天の第三者割当増資にテンセント側が応じ、約657億円で3.65%の株式を持つ株主となる。

 楽天は日本郵政などからも出資を受けた。これらにより経営基盤を強化したいのだろうが、中国側からの出資には重大な懸念があることを忘れてはならない。経済安全保障上のリスクである。

 中国は国家情報法に基づき、あらゆる組織や個人に政府の諜報活動への協力を義務付けている。最近は習近平政権によるIT大手への締め付けも厳しい。その中で楽天の個人情報や技術が中国政府に流出したり、経営に影響力を行使されたりする恐れはないのか。

 しかも米国は昨年、通信分野の中国企業排除に向けたクリーン・ネットワーク構想を掲げ、米国事業を手掛ける日本企業とも連携しようとしている。そんな時期に中国側から楽天に巨額の資金が入るのだ。これでは危機意識の薄さを疑われても仕方がない。

 楽天には、日本の通信基盤を支え、顧客データを守る社会的責任がある。出資後の事業を慎重に吟味し、懸念の払拭に努めなくては顧客の信頼は得られまい。

 楽天によると、今回のテンセント側の出資は純投資であり、株主として楽天の経営やデータなどに関与することはないという。

 これを額面通りに受け止めていいのか。出資発表時に楽天は、テンセント側との関係強化の意義を踏まえた出資と説明し、テンセント側も戦略的提携の追求を掲げていた。現時点で協業が具体化していないとしても、この出資をただの純投資とみるのは難しい。

 昨年施行の改正外為法で外資による日本企業の株式取得への規制が強化された。外資が役員を送り込んだり、非公開技術に接触したりすることへの制限もある。これらの順守に疑念を持たれぬようにすることが肝心だ。楽天はテンセントとの関係について、より納得できる説明をすべきである。

 政府にも適切にチェックする責務がある。それには米欧の規制当局との連携が必要だ。テンセントを含む中国企業の動きについては特に注意して情報を入手しなければならない。経済安全保障上の規制で日本が抜け穴になるわけにはいかない。日本政府の対中姿勢が問われているのである。