犬に寄り添う ドッグトレーナーの櫻さん

櫻綾太さんによるドッグトレーニング=八尾市(前川純一郎撮影)
櫻綾太さんによるドッグトレーニング=八尾市(前川純一郎撮影)

 しつけや飼育指導を通して犬と人との懸け橋となるドッグトレーナー。お互いが快適な共同生活を送るために欠かせない存在だ。犬好きの人なら、一度くらいは憧れを抱いたことがあるだろう。

 「昔から犬が好きで動物関係の仕事に就きたいと考えていました。仕事で毎日多くの犬たちと接していますが、担当したワンちゃんが全力でこちらに走ってきてくれる瞬間は最高に幸せですね」

 犬のしつけやトリミングサロン、ペット関連イベントの企画運営、ペットグッズの開発販売などを手掛ける「FREEWAN(フリーワン)」代表の櫻綾太さん(31)は、好きなことを仕事にできた喜びを語る。高校卒業が間近に迫っても進路について悩んでいたが、専門学校のオープンキャンパスを見学してドッグトレーナーを目指すことを決めた。

 出身地の広島県から、平成21年4月、大阪コミュニケーションアート専門学校(現・大阪ECO動物海洋専門学校)に入学。ドッグトレーニングと看護、トリミングの3分野を学ぶドッグマスター専攻に進み、プロとしての知識やスキルを身につけた。「先生方から実践をまじえて教わったことが、大きな支えになっています」と振り返る。

 印象に残っているのはイベント企画・運営の授業。実際に学内外でドッグショーを開催するなど、企画から準備、当日の進行まで任され、本来なら休みの週末に高校生の体験入学をサポートすることもあった。

 この経験を生かし、卒業後は犬のしつけや動物関係イベントを企画、運営する会社に就職。「人と犬がより良い関係性を築く」をコンセプトに25年4月、今の会社を立ち上げ、大阪府八尾市に店舗を構えた。

 ドッグトレーニングは、散歩、トイレ、留守番などの基本から、むやみに吠(ほ)えたりかんだりしないことまでを教える「しつけ」だけでなく、飼い主へのアドバイスも重視する。

 「犬をしかっても、それは強制的に黙らせているだけなので、原因を取り除いてあげないとダメ。犬からの発信を受け止め、ルールを作らなければならない。さらには、その犬に合った接し方もあります」

 例えば、愛犬との散歩。リードをぐいぐい引っ張る犬は、もしかすると散歩量が足りていないかもしれない。散歩の回数や時間は十分か、犬にストレスを与えていないか。「犬だけでなく、飼い主のマナーの向上も大事。飼い始めた後で『困ったらドッグトレーナー』ではなく、飼いたいと思ったときに、まずドッグトレーナーに相談してほしい」と訴える。

 コロナ禍が長引き、生活に癒やしを求めてペットを飼う人が増加する一方、しつけや世話が思うようにできず、櫻さんの店を訪れるケースも増えている。「家族として一緒に暮らすためのしつけに、ゴールを定めるのは難しい。『何回通えばいいですか』と質問されることもあるが、人間だったら子供を立派な大人に育てるための回数を聞かれているようなもの。僕たちの仕事は生涯学習ですから」。ペットは家族であり、最後まで責任を持って飼わなければならないと強調した。(上岡由美)