「中国の研究所からウイルス流出」説ほぼ否定 WHO報告書、再調査の可能性

「中国の研究所からウイルス流出」説ほぼ否定 WHO報告書、再調査の可能性
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 【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO)は30日、新型コロナウイルスの起源解明のため中国湖北省武漢市で調査を行った国際調査団の報告書を公表しした。報告書は、「中間宿主」となる動物を介した感染が最も可能性が高いとし、中国の研究所からウイルスが流出したとの仮説をほぼ否定した。人に感染が広がった経緯について明確な結論は下せず、WHOのテドロス事務局長は中国に調査団を再び派遣する可能性を示した。

 報告書では、人への感染経路に関し、4つの仮説を検証。その結果、有力な仮説の順番を、(1)ウイルスを宿した動物から別の動物「中間宿主」を介した感染(2)野生動物からの直接感染(3)冷凍食品などの食品流通網を経由した感染(4)研究所からの流出と結論づけた。

 報告書では、(1)の仮説について、中間宿主を介したウイルス感染は他にも事例があることなどから「可能性が非常に高い、もしくは高い」と評価した。ただ、中間宿主の特定には至らず、新型コロナに似たコロナウイルスはコウモリやセンザンコウから検出されたものの、ミンクやネコが感染しやすいことから他の動物の可能性もあるとした。

 (2)の仮説については、コウモリとの接触が多い人からコウモリのコロナウイルスに対する抗体が発見されたことなどを根拠に「可能性が高い、もしくは可能性がある」とした。

 (3)の仮説については、実際に輸入した冷凍製品の包装の外側から新型コロナが見つかった例があることから「可能性がある」と分析した。

 最後に、(4)の「中国科学院武漢ウイルス研究所」などの研究所からウイルスが流出した仮説について「極めて可能性が低い」とした。根拠として、各施設の安全管理が行き届いていたと指摘。中国当局が武漢で初症例を確認したとする2019年12月より前に、研究員らに新型コロナの症状が確認されていないことを挙げた。

 テドロス氏は30日、調査結果を受け、「今回の調査が十分とは考えておらず、より確かな結論にたどり着くためにさらなるデータや調査が必要となる」とし、現地での追加調査に意欲を示した。

 冷凍食品に付着したウイルスが国外から流入した(3)の仮説を支持していた中国の外務省は同日、声明で「科学的で専門的な精神を示した」と報告書を称賛した。一方、日本や米国など14カ国は31日未明、WHO調査に対し「懸念を表明する」との共同声明を出した。