教科書検定意見9549件 前回比1・5倍に 「北方領土」未記載も

文部科学省が30日に公表した高校教科書の検定結果では、合格した専門科目を除く11教科248点の教科書で計9549件の検定意見が付いた。平成27年度に行われた前回検定(6545件)の1・5倍近くに上り、学習指導要領の改訂に伴う科目再編が影響したとみられる。教科書1点あたりでは38・5件で、事実関係の誤りだけでなく、社会情勢などを踏まえた意見も付けられた。

検定意見の増加について、文科省は「初めて登場する科目も多かったので、手探りの部分が多く、意見数にも反映されたのではないか」と分析する。

「歴史総合」では、明治初期の「国境の画定」を扱った箇所で、当時の日本外交を説明する地図に択捉(えとろふ)島など4島が記載された。しかし、「北方領土」との記述がなく、指導要領では触れるように求めているため、「扱いが不適切」との意見が付いて修正された。

「公共」では、「尖閣諸島においては、中国・台湾との緊張関係が発生している」との記述に「生徒が誤解するおそれがある」との検定意見が付いた。問題視したのは、「中国」と「台湾」の同列表記。文科省の担当者は「台湾は国名ではなく地域名で、明確に分かるようにしてほしい」と説明する。「台湾当局」と修正されたが、中国に配慮したともいえそうだ。

検定意見では情報化社会特有の懸念も目立った。「英語コミュニケーションI」では、会員制交流サイト(SNS)の投稿を模した文章の空欄を、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんになったつもりで答える演習問題を掲載。申請段階では「適当な語句を入れ、SNSで発信しましょう」となっているが、「他人の名前で発信することは、情報リテラシー上の問題がある」(文科省)ため検定意見が付き、表現が改められた。