不適切記述 厳格な検定を 教科書検定 - 産経ニュース

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不適切記述 厳格な検定を 教科書検定

教科書検定に合格した教科書(従軍慰安婦について書かれたページ)=30日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)
教科書検定に合格した教科書(従軍慰安婦について書かれたページ)=30日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

今回の高校教科書検定では、平成30年改訂の新学習指導要領などを受け、地歴公民における領土学習の充実化が一層進んだ。特に必修の新設科目となる「地理総合」と「公共」の教科書で、北方領土、竹島、尖閣諸島はいずれも「固有の領土」と全社が明記。昨今の領土をめぐる情勢を鑑(かんが)みるに、ようやく最低限の改善が図られた。

ほかにも北方領土と竹島をめぐり、ロシアや韓国による「実効支配」との表記に検定意見が付けられ、対象の複数社は「不法占拠」などに修正。このように政府見解を踏まえた検定意見が随所に見られるところは、領土教育を重視した前安倍晋三政権の遺産といえるだろう。

検定基準では政府見解などに基づいた記述を求めており、自国の立場を優先した表現で指導するという当然のことが徹底されたことは前向きに受け止めたい。

ただ、疑問符の付く点も多い。政府が強制連行を否定したことで使用の妥当性が議論となっている「従軍慰安婦」の記述は、今回も検定意見が付かなかった。

文部科学省は理由を「軍や官憲による強制連行という記述でなければ、ただちに検定意見が付くことはない」と説明。だが、合格した教科書を見ると、戦時中の強制労働や強制連行に関する補償を扱った文章中に記述が登場するほか、「慰安婦として従軍させられ」との記載もある。「軍による強制連行」を強く想起させ、極めて不適切だ。

戦時中に強制連行された朝鮮人労働者数を「約80万人」と断定した記述もそうだ。政府の公式見解がなく諸説がある以上、検定基準に沿って通説的な見解がないことを明示するよう検定意見を付けるべきだ。

教科書の記述はグレーゾーンであっても、合格すれば事実として受け止められる可能性が高い。厳格な検定を求めたい。(福田涼太郎)