【ビジネス解読】高級旅館をM&Aした写真館 中小事業主救うネット仲介  (1/3ページ) - 産経ニュース

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高級旅館をM&Aした写真館 中小事業主救うネット仲介  

高級旅館「桐のかほり 咲楽」の部屋からは相模湾が一望できる。ベランダには露天風呂も用意されている=静岡県河津町(同社提供)
高級旅館「桐のかほり 咲楽」の部屋からは相模湾が一望できる。ベランダには露天風呂も用意されている=静岡県河津町(同社提供)

新型コロナウイルスによる影響が顕在化してから1年余り。サービス業を中心にコロナ禍で事業モデルの転換が経営課題になっている。写真館運営の小野写真館(茨城県ひたちなか市)は令和2年10月、伊豆の高級温泉旅館をM&A(企業の合併・買収)で取得。写真館と高級温泉旅館。何も関連がないように見えるが、小野哲人社長は「感動体験を切り口に双方のシナジー(相乗)を生み出して、新たな需要を掘り起こす」と意欲的だ。

小野写真館は昭和51年創業。2代目となる小野社長はブライダルや振り袖レンタルなどに進出。祖業の経営資源をもとに多角化展開を目指す「アトツギベンチャー」として、年商16億円規模にまで成長させた。

ところが、新型コロナの世界的な流行が小野写真館の経営に大きな打撃を与える。令和2年春以降は結婚式の中止や延期が相次ぎ、同4~5月の売上高は前年同期比8割減にまで落ち込んだ。

危機的な状況の中で小野写真館は攻めの一手を打つ。結婚式や成人式など、晴れの舞台には記念撮影が付き物。「同じように非日常の世界が体験できる場として、宿泊業にはコロナ前から関心があった」と話す小野社長。ビジョナル・インキュベーション(東京都渋谷区)の事業承継仲介サイト「ビズリーチ・サクシード」に、伊豆半島にある静岡県河津町の高級温泉旅館「桐のかほり 咲楽(さくら)」が売却案件として掲載されていたのに気付いた。

この旅館は全4室で、各室のバルコニーにある露天風呂からは海が一望できる。部屋食のため、いわゆる「密」も避けられる。7月に現地を訪れた小野社長は「ウィズコロナのライフスタイルにぴったり」とすぐに気に入った。

旅館のオーナーだった萩原良文さんは親族内承継を検討したものの実現が難しく、廃業も考えたが、「常連客から続けてほしいとの声を受けた」ことから、親族外承継に切り替えて買い手を探していた。