国際金融都市へ課題山積 システム障害や自然災害を敬遠 - 産経ニュース

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国際金融都市へ課題山積 システム障害や自然災害を敬遠

東京証券取引所=東京都中央区(桐原正道撮影)
東京証券取引所=東京都中央区(桐原正道撮影)

 日本国内で機運が高まる国際金融都市構想だが、依然課題は山積している。昨年10月に発生した東京証券取引所のシステム障害は、金融取引で最も重要とされる安定的な市場運営の信頼性を損なう新たな課題となった。最近頻発する地震や台風といった自然災害は海外の資産運用事業者などの日本進出を躊躇(ちゅうちょ)させる要因にもなっており、構想への逆風は強まっている。

 実際、そのリスクの大きさが再認識されてか、英シンクタンクZ/Yenグループなどが17日発表した国際金融センター指数の3月調査で、東京は前回(昨年9月)調査に比べて3つ順位を下げて7位に後退。一方、4~6位の香港、シンガポール、北京が前回から1つずつ順位を上げた。大阪は32位と前回の39位から順位を上げたものの、低位置でくすぶる。福岡は100位以内にも入らない。

 これまで主要課題のひとつとされていた他国に比べて負担が重い法人税や相続税、所得税については、昨年末にまとめた与党の税制改正大綱には軽減措置が盛り込まれた。また、今年1月には日本に参入する海外ファンドなどの登録手続きから参入後の監督や検査まで一貫して英語で対応するサポートオフィスを新設。来年度には各種申請や届け出をデジタル化する方針を示すなど、昨年から課題への対応を加速させている。

 だが、税負担が軽減されたとはいえ、相続税や株式譲渡税が非課税のシンガポールや香港に比べると税負担は重い。家族帯同が多い外資系金融機関関係者にとって魅力的なインターナショナルスクールが少ないといった声も聞かれ、外国人の居住環境や英語対応で日本の見劣り感は否めない。

 ただ、順位を落としたとはいえ、それでも東京が上位に食い込んでいるのは、日本が約1900兆円にものぼる分厚い個人金融資産を保有しているからだ。多額の個人金融資産が投資へ向かわずに大半が預貯金に滞留しており、大和総研の中村昌宏主任研究員は「他都市に比べ税負担が重くても、この資産の厚みで勝負できる」と分析する。

 とはいえ、資産滞留の原因とされる年金基金など国内機関投資家の姿勢は財政の健全性を重視しており保守的だ。そのため「海外の資産運用会社が年金基金と面談機会もなかなかできず、受託可能性を見極めるだけでも困難」(中村氏)とされる。こうした自主規制ルールへの対応も大きな課題となっている。(西村利也)