「赤い海藻」が地球を救う? 牛のげっぷによるメタンガスを大幅に減らす取り組み

ILLUSTRATION BY JACQUES KLEYNHANS
ILLUSTRATION BY JACQUES KLEYNHANS

 地球温暖化の大きな要因のひとつとされている、牛のげっぷによるメタンガスの放出。カギケノリという赤い海藻を牛の餌に混ぜることで、このメタンガスの放出を85%も減少させる効果があるという。そしていま、養殖の試みが進められている。

TEXT BY NICOLE KOBIE

TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEO

WIRED(UK)

牛のげっぷとして吐き出されるメタンガスが、地球を破滅に追い込みつつある。国連食糧農業機関(FAO)によると、人為的な原因による温室効果ガス放出のうち14.5%は家畜に起因し、そのうちの3分の2は牛によるものだという。

いまから4年前のこと。起業家のジョシュ・ゴールドマンは、オーストラリアの国立研究機関であるCSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)とジェームズクック大学が発表した研究論文を読んだ。その論文には、げっぷ問題の解決策として「海藻」が提案されていた。小さく刻んだカギケノリという海藻を牛の餌に振りかけて全体量の0.2%ほど加えると、げっぷによるメタンの放出が85%も少なくなるというのだ。

さらに初期の実験では、必要となる餌の総量も少なくなることがわかっている。げっぷはエネルギーが浪費される原因でもあるからだ。

ただし、この赤い海藻を利用して牛のげっぷ問題を解決するには、海藻を簡単に養殖できるようにする必要がある。世界中の牛の餌に使うには、海藻が20億トンも必要になる。

この難題を解決しようと思い立ったゴールドマンは、海藻研究者のレオナルド・マタを紹介された。マタはカギケノリの研究を数十年にわたって続けており、当時この海藻を養殖していた唯一の人物だったのである。

ふたりの協力は、「グリーナー・グレイジング(Greener Grazing)」という名のプロジェクトとして結実した。そしてゴールドマンが経営する、より広範に持続可能な養殖に取り組む企業であるAustralis Aquacultureの傘下に入った。

商業的な収穫は2021年に計画

成長の仕方という面から海藻を見ると、大きく分けて2種類あるとゴールドマンは説明する。「ひとつは養殖しやすい海藻で、大きな個体を実際に採集してきて小さく切り分け、ロープに結び付けるか貼り付けてやると再生するというものです。しかし、成長の仕方がもっと複雑な海藻があり、これがふたつ目に分類されます」

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