このところ木曜朝の新聞広告で『週刊文春』の広告を見ても、楽しくない。ちょっと憂鬱な気さえする。他人(ひと)の糾弾ばっかり。
今週(4月1日号)もトップが「菅首相長男に一万株 鉄道利権を暴く」。
とは言うものの、「一万株」は菅義偉総理が30年ほど前に地元コーヒー会社の子会社(非上場、資本金1千万円)から譲られた1万株(簿価500万円)を2012年、長男、正剛氏に譲っただけ。
〈菅氏の所得報告書にはその売買に該当する記載はなく〉〈簿価五百万円から試算すれば、五十万円前後の贈与税が発生する。仮に正剛氏が支払っていなければ脱税の可能性が〉
重箱の隅をつつくとはまさにこういうことを言うのだ。
「鉄道利権」というのも地元京急グループの幹部たちから20年間に〈累計一千六百五十万円の個人献金〉。
違法でも何でもない。これでこのタイトルはないだろう。
先週に続いて、東京五輪開会式演出問題。この件は3月23日の産経新聞、増田明美さん(スポーツジャーナリスト)のコラムに尽きる。
〈アイデアを出し合った内輪のやり取りを1年たった今、告げ口した人のなんと卑怯(ひきょう)なことか。加えて、「女性の容姿を侮辱」などと、事実を歪曲(わいきょく)させてセンセーショナルな見出しで伝えるメディアも情けない。〉
未読の方はぜひ一読を。
『ニューズウィーク日本版』(3・30)、いつものことながらタイムリーな企画で大特集、「中国に勝てるのか」。
万里の長城らしき城壁に囲まれ、うつむいて腕を組み、考え込んでいるバイデン米大統領の表紙イラストも秀逸。
「中国公船の『侵入歴』」という、編集部作成のグラフを見ると唖然(あぜん)とする。
今週の『週刊ポスト』(4・2)、なかなかの頑張り。本領発揮だ。
「テレビ界最大の放送禁止用語『電波利権』の核心」「白鵬が手を出す『呪われた間垣株』相場は2億円」「『海外客ゼロ』東京五輪、やる意味あるのか」などなど。
『文春』より週刊誌らしい。
(月刊『Hanada』編集長)