アカデミー監督も絶賛 日本発人形SF映画は危険な世界

 内装業の工場が撮影スタジオになった。内装の仕事は月に1週間程度に減らし、残る時間の全てを映画作りに当てた。一人で黙々と作業した。

 後に結婚する女性とすでに暮らしていたが、だまって見守ってくれた。「よく耐えてくれたなあ」。感謝してもしきれない。

■狂った輝き

 21年の暮れから作り始めた映画がようやく完成したのは25年10月。4年がかりで30分の短編「JUNK HEAD 1」ができた。「なぜ完成できたのか、自分でも分からない」

 これをユーチューブに投稿したところ、世界の映画人が注目した。「狂った輝きを放ち、不滅の創造力が宿っている」。アカデミー賞監督のギレルモ・デル・トロさんが、ツイッターで絶賛した。

 だが、堀監督にとっては、まだ「1」。「10」で完結する構想だ。「2」の製作資金をインターネットで調達しようとしたが、失敗した。500万円ほどが集まったが、必要だったのは2千万円だ。

 実は、米国大使館から連絡が来るなど、ユーチューブを見た米ハリウッドからラブコールが相次いでいた。だが、「英語が話せない」とすべて無視した。

 万事休すだが、そのとき幸いにも出資したいという国内の企業が現れた。これで27年、堀監督は長編の製作に着手。短編の「1」を冒頭に当て、残りが完成したのが29年。「1」の着手から8年が過ぎていた。

 「苦しかった。だから、発表して認められたときは、生きていてよかったと思いました。きっと作り続ける限り可能性はあります。そう考えれば、とりあえず生きていけそう」

 短編10本で完結という構想は、長編3本で完結に変わった。内装業は続けている。工事を依頼された映画館で、「JUNK HEAD」のポスターを見つけたこともあった。2作目の準備はできている。人形たちが地下世界でさらなる冒険を繰り広げられるかは、日本での評判にかかっている。

 「JUNK HEAD」は、東京・アップリンク渋谷、大阪・イオンシネマシアタス心斎橋などで公開中。1時間39分。

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