【深層リポート】貨物輸送担った秋田臨海鉄道廃業 脱炭素の時流も…間に合わず(2/2ページ) - 産経ニュース

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深層リポート

貨物輸送担った秋田臨海鉄道廃業 脱炭素の時流も…間に合わず

 同鉄道を最後まで利用した日本製紙秋田工場の担当者は「臨海鉄道を使えなくなっても、工場から秋田港駅まではトラックで運びJR貨物を使う。鉄道貨物は距離が長いほどコスト面で有利。トラックが行きにくいところにもレール網があり、輸送手段の一つとして今後も利用する」と話す。

取扱量、採算以下に

 実は、秋田臨海鉄道の取扱貨物は新年度からゼロになるわけではなかった。「取扱量が採算ベース以下で利益を上げられなくなった」(佐藤さん)のだ。

 国交省によると平成30年度の国内貨物輸送は、トラック(自動車)51・3%、海運43・7%で、鉄道は4・7%。同省はモーダルシフトの計画策定・運行経費を一部補助しており、昨年度は計7件の鉄道モーダルシフトが実現した。世界では製造・販売で脱炭素を徹底する企業が増え、輸送面でも脱炭素化が求められる可能性は大きい。

 佐藤さんは「モーダルシフトが注目されるさなかに事業を終えるのは残念でならない」とつぶやいた。

臨海鉄道】 JR貨物の傘下で、主に臨海工業地帯の貨物輸送を行う第三セクターの鉄道。秋田のほか八戸(青森県)、仙台、福島、鹿島(茨城県)、京葉(千葉県)、神奈川、名古屋、衣浦(愛知県)、水島(岡山県)がある。鹿島は旅客輸送も行う。北海道の釧路は平成11年、苫小牧は13年、新潟は一部を除き14年に廃止。

記者の独り言】 幹線道で列をなす大型トラックを見ると排ガスや放熱、騒音、振動、人手…と考えてしまう。道路の舗装補修には平成30年度に全国で約3500億円(国交省まとめ)かかっている。重量のある大型トラックは路面負荷が大きく、また、電動化も技術的な課題が多い。貨物鉄道は全国に網羅されており、環境負荷も小さい。その利用を増やすには税制優遇や利便性向上など、国を挙げた取り組みが必要だと思う。(八並朋昌)