円谷さんとともに、思いつないだ メキシコ五輪銀の君原健二さん、亡き友の故郷を疾走

 円谷さん亡き後、君原さんはメキシコ大会で銀メダルを獲得。円谷さんの銅を超える成績を残した。

 君原さんはこのレースの最終盤、間もなく競技場に差し掛かろうというところで、後方が気になり、ふと振り返ったという。普段は後ろを向くことはないという君原さん。このとき、3位を走っていたニュージーランドの選手が猛烈な追い上げを見せていた。

 東京大会で円谷さんは国立競技場に2番手で入りながら逆転を許したことを強く悔いていた。君原さんは後にこう理解する。「円谷さんが私に『振り返れ』と教えてくれたのではないか。東京大会の教訓として」

 32歳で一線を退いた君原さんだが、引退後も走り続け、須賀川市で開催される「円谷幸吉メモリアルマラソン」には毎年出走している。聖火リレーでは、集まった観客に笑顔で手を振り、ゆっくりとしたペースで走り切った。会場では円谷さんの兄、喜久造さん(89)が君原さんの走りを見守り、ゴールした君原さんに「ありがとう」と声をかけた。

 「一緒に聖火を運ぶこの日を、ずっと待っていた」。喜久造さんとともに記念撮影に臨んだ君原さんは、胸にしまっていた円谷さんの写真を誇らしげに掲げていた。

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