大阪府市一元化条例 維新、衆院選にらみスピード決着 公明修正ものむ - 産経ニュース

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大阪府市一元化条例 維新、衆院選にらみスピード決着 公明修正ものむ

 大阪市議会で26日に可決、成立した大阪府市の広域行政の一元化条例は、公明党の要求をほぼ丸のみした形で決着した。公明が修正にこだわった背景には、市の権限縮小への抵抗感とともに、次期衆院選をにらんだ思惑もある。大阪府に権限を集中させる当初の構想から後退したように映るが、大阪維新の会は早期成立を優先。「都市計画の決定権を府が持つ」という条例の根幹部分は譲らず、名より実を取った格好だ。

都構想の代案

 「大阪都構想が実現しない中で、二重行政のリスクを抑えていくためのルールとしては、よくできた条例だ」。松井一郎市長(維新前代表)は市議会閉会後、記者団にこう述べた。

 松井氏が条例案を打ち出したのは昨年11月5日。都構想が僅差で否決された住民投票の4日後だった。関係者によると、松井氏は府市幹部を集め、都構想後の次の一手としてただちに条例化について検討するよう指示したという。

 吉村洋文知事(維新代表)も、都構想の制度設計と同様に、427の事務と財源約2千億円をセットで府へ移すよう主張。松井、吉村両氏は「都構想の代案だ」と強調した。

 維新は市議会では過半数の議席を持たないため、都構想で共闘した公明に協力を迫った。だが、公明支持者には、維新に押し切られる形で都構想推進に転換した経緯から、維新に対し根強い拒否感があった。

 公明は「前向きな条例案」と評価しながらも、慎重姿勢を堅持。都構想否決の民意を受け止めなければ、支持者の理解が得られなくなる焦りもあった。

 公明内部では、条例案の「府に事務委託する」とした部分も引っかかっていた。「府市対等」を明確に担保させなければ府主導で政策決定され、市や市議会の意見が届きにくくなることを不安視したのだ。

根幹は譲らず

 松井氏は「都構想を推進した公明が条例案に反対する理由はない」と揺さぶり、賛成しない場合、衆院選で公明現職がいる府内選挙区に対立候補を擁立する可能性も示唆した。

 維新は、今議会で条例を成立させなければ、政治情勢が読めなくなることを懸念していた。先送りして衆院選モードに突入すれば、国政で自民党と連携する公明の態度は見通せなくなるからだ。

 衆院議席の維持を最重要課題とする公明側の思惑とも一致。2月2日に市役所で松井氏と公明市議団幹部らが面会し、修正協議に入ることで折り合った。

 公明側は国土交通省や総務省に議員がおもむき、「事務委託」の手法が地方自治法上問題ないことなどを確認。府主導にならないよう、条例案に「府市対等の立場」などを明記させた上、府に委託する事務に市が一定関与できるよう付帯決議も付け、「公明の修正案」を印象付けた。

 ある公明市議は、修正にこだわった理由に「民意」を挙げ、「条例に心配の声が届いていた。アピールが必要だった」と明かす。

 維新は妥協を重ねたようにもみえるが、維新幹部は「府市対等という当たり前のことを書き入れただけ」と意に介さない。松井氏は周囲にこう話している。

 「事務委託が否定されれば『骨抜き』だったが、条例の根幹であり、背骨の部分は一切譲っていない」