漫画の海賊版が再び拡大 サイト相次ぎ被害急増、「漫画村」超す 

多い「ベトナム系」

 解決が困難なのは、サイト運営者の特定が難しいためだ。サーバーが海外に置かれ匿名性が高いことに加え、そのサーバーやドメインも頻繁に変わる。現在多いのは、運営者がベトナムにいるとされる通称「ベトナム系」サイト。日本側も文化庁などを通じて各国政府に協力を呼び掛けているが、それらの国が海賊版による被害を直接受けているわけではないため、反応は鈍いという。

 こうした状況を打開するため、CODAはサイバー知識と倫理観をあわせ持つ「エシカルハッカー」と連携し、運営者の特定につなげる。ABJも悪質サイトをリスト化し、関係団体や企業と情報を共有。検索サイトから海賊版サイトにアクセスしづらくするための取り組みも行う。

 今年1月には改正著作権法が施行され、海賊版と知りながら漫画やイラストなどをダウンロードする行為も新たに違法となった。2月の「ダウンロード型」サイトへのアクセス数は、1月と比べて1割程度落ちたといい、ABJの担当者は「効果は表れ始めている」と期待を寄せる。

「進撃の巨人」も標的

 特に海賊版の標的となりがちな人気漫画。別冊少年マガジン(講談社)で連載され、来月完結する「進撃の巨人」(諫山創著)も被害を受け続けている。

 「海賊版サイトに動画配信サイト、SNS…など多くの場で著作権侵害を受けてきました。雑誌の発売前に海賊版がアップロードされる場合もあります。本当に許せない行為です」

 担当編集者の川窪慎太郎さん=週刊少年マガジン編集部編集次長=は憤りを隠さない。刊行元の講談社は海賊版対策チームを編成。発売前の漏洩(ろうえい)ルートを調査し、違法アップロードした人の特定を進める。訴訟の準備も行っている。

 その一方で、川窪さんは啓発活動にも努める。別冊少年マガジンの発売数日前、自身のツイッターで、正規版の利用を促す文章を日本語と英語で発信。違法アップロードが従来の半分になるなど、効果を実感しているという。

 川窪さんは「『どうせ逮捕まではいかない』と軽く考える人もいるが、そんなことはない。逮捕も訴訟もありえます。違法アップロードは最低の行動だと思いますし、断固とした対応を取ります」と話している。

会員限定記事会員サービス詳細