朝晴れエッセー

それも幸せ・3月25日

息子の中学校の卒業式で、校長先生が話されたことを今も覚えている。

保護者も席について体育館はシーンと静まり開式を待つばかりのときに、校長先生はおもむろに壇に上がり話し始められた。

ふと、感謝しなさいという言葉が耳に入ってきた。ぼんやり者の私は、卒業を機に子供が親に感謝するという意味かと思って聞いていたら、そうではなかった。

校長先生は親に向かって、子供に感謝する気持ちを持ちなさいと諭されたのだった。親の幸せのほとんどは子供が持ってきてくれるものだ。

病気をしたりけがをしたりけんかをしたりと、子育て中はいろいろ苦労があったろう。勉強はしない、親にはろくに口もきいてくれない、一体何を考え、どうする心算かと心配した人も多いだろう。

しかし、そういう風に気をもんだり心配するのもまた幸せではないか。

さらに校長先生は続けて、一生懸命子供に尽くしなさいと言われた。子供に尽くすということは、あれこれと手を出して日常的な世話をやくことではない。親自身がちゃんと生きることであると。

ちゃんと生きるとはどういうことなのか、残念ながらその後の話は思い出せない。

しかし、校長先生の話は全くその通りだと初めて気が付いて、自分もちゃんと生きようと強く思ったことを覚えている。

有阪ひで 78 千葉県流山市