政府は25日、北朝鮮が同日午前7時過ぎに弾道ミサイル2発を日本海に向けて相次ぎ発射したと発表した。防衛省によると、いずれも約450キロを飛行し、日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海に落下した。北朝鮮の弾道ミサイル発射は昨年3月29日以来、約1年ぶり。1月のバイデン米政権発足後初めてとなる。
菅義偉(すが・よしひで)首相は官邸で記者団の取材に応じ「わが国と地域の平和、安全を脅かすものだ。国連(安全保障理事会の)決議違反でもあり、厳重に抗議し、強く非難する」と述べた。政府は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重抗議した。
首相は「米国や韓国をはじめ関係諸国と緊密に連携し、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜く決意だ」とも強調した。
また岸信夫防衛相は、ミサイルの高度は100キロ未満と推定され、北朝鮮が保有する「スカッド」よりも低いとの分析を明らかにした。
首相は4月に予定する訪米とバイデン大統領との会談に関し「今回の弾道ミサイル発射を含め、対北朝鮮政策についてはしっかり議論し連携を取っていきたい」と強調した。
政府は午前7時10分ごろ「弾道ミサイルの可能性があるものが発射された」と発表した。首相は情報の収集と国民への迅速な公表、航空機や船舶の安全確認などを指示し、同8時から官邸で国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開いて情報を分析した。
政府の発表によると、ミサイルは北朝鮮東岸から午前7時4分、同23分ごろに発射され、それぞれ東方向に飛行。日本のEEZ外の日本海に落下したと推定されている。政府は付近を航行する航空機や船舶に情報提供したが、被害は確認されていない。
韓国軍当局者の24日の発表によると、北朝鮮は21日にも巡航ミサイルと推定される短距離ミサイル2発を中部から黄海に向けて発射していた。