大阪市東淀川区で平成29年12月、養子縁組をした当時2歳の娘に暴行を加え死亡させたなどとして、傷害致死と強制わいせつ致傷、傷害の罪に問われた父親の今西貴大(たかひろ)被告(32)の裁判員裁判の判決公判が25日、大阪地裁であった。渡部市郎裁判長は、傷害罪は無罪とした上で傷害致死罪などを認定し、懲役12年(求刑懲役17年)を言い渡した。
被告側は暴行を否定し、女児の死亡は感染症などが原因の可能性があるなどとして無罪を主張した。これに対し渡部裁判長は判決理由で、専門医の証言などから「何者かによって強い外力が頭部に加えられ、頭蓋内損傷が起きたことが原因」と判断。そうした行為ができたのは、被告以外にいないと述べた。
強制わいせつ致傷罪についても、肛門にできた傷は自然排便ではなく、何らかの異物が挿入されたことで生じたもので被告の犯行だと指摘。一方、膝の骨折に関する傷害罪は、「飛び降りやすべり台での事故などが否定できない」として罪の成立を認めなかった。
渡部裁判長は量刑理由で、「2歳児を死亡させるなどした暴行に酌むべき事情は見いだせない」と指弾。自らの犯罪と向き合わず、不合理な弁解に終始し、反省の情がみられないと断じた。
判決によると、29年12月16日夜、当時の自宅で、妻の実子で養子縁組をした娘の頭部に何らかの方法で強い衝撃を加え、頭蓋内損傷を負わせて死亡させた。また、同年12月中旬に肛門に異物を挿入し、1週間のけがをさせた。