聖火リレー、25日出発にこだわった首相 「確実に開催」の決意示す

東京五輪2020の聖火リレーが始まることを受け記者団の質問に答える菅義偉首相=25日午前、首相官邸(春名中撮影)
東京五輪2020の聖火リレーが始まることを受け記者団の質問に答える菅義偉首相=25日午前、首相官邸(春名中撮影)

 菅義偉(すが・よしひで)首相は、東京五輪の聖火リレーを予定通り25日に始めることにこだわった。国内では新型コロナウイルスの感染拡大を危惧して大会の中止や延期を求める声が根強いが、リレーの日程を崩さないことで、「今夏に確実に開催する」という決意を内外に示したといえる。政府は今後、来日する選手らの水際対策など、準備を着実に進める。

 「本日からスタートする聖火リレーは大会が近づいてきたことを国民の皆さんに実感してもらえる貴重な機会。それぞれの地域で機運を高めていただきたい」。首相は25日朝、官邸で記者団にこう語り、五輪開催が現実となることを強調した。

 首相は国会審議を優先するため出発式の出席は見送ったが、大会組織委員会幹部は「官邸は首相が参加できないか、最近まで可能性を探っていた」と明かす。代わりに出席した丸川珠代五輪相は「コロナ対策を万全なものとし、安全安心な大会を実現していく」とあいさつした。

 首相は「人類が新型コロナに打ち勝った証し」として今夏の大会開催にこだわってきた。しかし、感染拡大への不安から、風当たりはなお厳しい。政府や組織委は「今夏の開催は決まっている」と繰り返し説明してきたが、今月に入っても「いつ開催の可否を判断するのか」という問い合わせが寄せられる。

 中止論をこれ以上広げないためにも、首相は25日のリレー開始にこだわった。政府高官は「リレーが始まったらもう五輪はやるということだ」と強調する。

 1都3県の緊急事態宣言を21日で全面解除したのも、25日のリレー開始に向けた環境整備という向きがある。政府は関連を否定するが、出発日に国内で宣言発令地域をなくすことで、リレーの延期論を和らげる狙いもあったとみられる。

 首相は「国民を生命の危機にさらしてまで開催しようとは思わない」と周囲に語る。それでも、検査の徹底や選手らの隔離など感染対策を徹底すれば、「ワクチンを前提としなくても、安全安心に大会を開催できる」と判断している。

 政府は大会で外国人の観客は断るが、通訳などのボランティアや審判、スポンサー関係者らは人数を絞って入国を認める方針。訪日外国人から感染が広がらないよう、細かく管理するシステムなども作り、国民の不安感を和らげたい考えだ。(水内茂幸)