明美ちゃん基金

「社会で手厚い支援を」心臓移植、子供が壁を乗り越えるために

 日本では、心臓病の子供の医療費は医療保険や公的扶助でカバーされるが、特に移植医療に関しては医療費以外の負担が少なくない。さらに、さまざまな生活上の制限や心の葛藤など、移植待機中から退院後の生活まで、子供たちが乗り越えなければならない壁はたくさんある。大阪大病院(大阪府吹田市)で「レシピエント移植コーディネーター」として移植患者の人生に寄り添ってきた久保田香さん(41)は、「さまざまな課題に対応するため、社会の手厚い支援が必要」と訴える。(小林佳恵)

 レシピエント移植コーディネーターは、移植を待つ患者(レシピエント)や家族に、さまざまな情報を提供し、手術後も生活指導を続けるなど長期にわたりサポートする仕事だ。久保田さんは同病院で15年以上にわたり、子供から大人まで多くのレシピエントを受け持ってきた。

 本当に移植にたどり着けるのか-。レシピエントや家族が抱える最も大きな不安だ。それに加え、金銭面の負担が重くのしかかる。場合によっては数百万円になる臓器搬送費など、財政的な問題から、移植希望の登録を辞退する人もいた。

 急な臓器提供に対応できるよう移植施設の近くで待機するため、住み慣れた土地を離れる患者は少なくない。患者に母親が付き添い、父親やほかの家族が地元に残れば、生活費などもかさんでいく。

 移植後は、定期的な通院が続くほか、免疫抑制剤の服用で生活上のさまざまな制限も生まれる。動物との過度な接触を避ける、日光を避けるために体育の授業ではラッシュガードを着る…。子供が思春期に入ると「どうして私だけ」と葛藤し、精神的に不安定になるケースもあるという。久保田さんは病児とその保護者を心理的に支援する「チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)」などの専門家と協力しながら、心のケアにも気を配っている。