台湾有事、日米首脳会談の議題に 中国ミサイルに懸念共有 - 産経ニュース

メインコンテンツ

台湾有事、日米首脳会談の議題に 中国ミサイルに懸念共有

菅義偉首相(春名中撮影)
菅義偉首相(春名中撮影)

 米インド太平洋軍の幹部が中国軍による台湾侵攻の可能性に言及したことで、米軍と自衛隊による台湾有事対処を念頭に置いた日米協力が両国間の重要課題となる。ただ、政府は昨年末までに結論を出すとしていた敵基地攻撃能力について検討を棚上げしたままだ。菅義偉(すが・よしひで)首相は4月前半に訪米を控えており、今後の日米間の懸案になりそうだ。

 首相は自身の訪米について、16日に米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官に「日米同盟の絆を確認したい」と強調した。同日に東京で開かれた外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)では、日本が「能力を向上させることを決意した」と明記している。

 アキリーノ米太平洋艦隊司令官が自衛隊強化を求めたのは、一連の日米合意を改めて確認する狙いがあったとみられる。日米両政府が危機感を強めるのは、中国が少なくとも1250基を配備しているとされる地上配備型中距離ミサイルだ。台湾有事の初期段階で米軍即応の拠点となる沖縄県などの在日米軍基地を標的とする可能性もある。

 自衛隊は沖縄本島に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備するほか、洋上のイージス艦から発射する迎撃ミサイルSM3によるミサイル防衛(MD)態勢を敷く。極超音速滑空兵器(HGV)を捕捉・追尾するため、多数の小型衛星を低軌道に投入する「衛星コンステレーション」への参加も検討している。

 だが、中国が大量のミサイルを浴びせかければ、MDは攻撃を防ぐことができない。中国のミサイル網は、米空母などの来援部隊を沖縄からフィリピンを結ぶ「第1列島線」に近づけさせない狙いもある。

 こうした中国側の動きを封じるため、南西諸島の陸自ミサイル部隊は、台湾有事の際にミサイルを搭載した中国軍艦艇などに対抗する役割も担いうる。政府が導入を決めた長射程のスタンドオフミサイルも離島防衛向けと説明されているが、政府関係者は「中国本土のミサイル関連施設をたたくために用いる可能性もある」と語る。

 米インド太平洋軍は第1列島線に沿って地上配備型の精密照準攻撃ミサイルのネットワークを構築する構想を打ち出している。日米が共同して中国のミサイルに対抗する計画を策定する上で、日本側でも検討を進める必要性が高まる。(杉本康士)