聖火リレー つなぐ想い

大役で勢い パリパラ出場狙う

周藤穂香さん(左)と母親の美保さん=群馬県桐生市(柳原一哉撮影)
周藤穂香さん(左)と母親の美保さん=群馬県桐生市(柳原一哉撮影)

群馬 ボッチャのトッププレーヤー 周藤穂香さん(28)

 「織都(しょくと)」と呼ばれる高級絹織物の産地、群馬県桐生市を県実行委員会推薦ランナーの一人として車いすで走る。任されるのは終盤の約200メートル。トーチを車いすに固定して高々と掲げ、母親の美保さん(56)の伴走で聖火をつなぐ。

 脳性まひのため生まれつき体幹、上肢、下肢にそれぞれ1級の障害がある穂香さん。衣食住全てで支えを必要とし、話すのも難しく文字盤などを使って意思疎通する。実は、パラリンピックの正式種目「ボッチャ」のトッププレーヤーということはあまり知られていない。

 障害者向けに考案されたボッチャは自分の球を転がすなどして、いかに目標球に近づけるかを競う。「地上のカーリング」ともいわれ、力加減や駆け引きなど総合力が問われる。

 2017(平成29)年にタイで開かれた国際大会「バンコク・ワールドオープン」に日本代表として出場。個人戦で10位に食い込む健闘を見せた。その4年前にボッチャに出会って以来、短い期間で実力をつけた原動力を、県ボッチャ協会理事長でコーチの岩下浩明さんは「生きがいを見いだしたこと」とみている。

 「自分で考え、判断し、自分が主体となって結果を出せるから、充実感があり面白い」と話す。日頃は介助などが必要なだけに、その言葉には旺盛な自立心が宿る。美保さんも「ボッチャが穂香を前向きに変えた」と認める。

 国際大会で活躍した勢いに乗って東京パラリンピックへの出場を目指したが、惜しくも選考に漏れた。リレーでは、成し遂げられなかった思いを聖火に託し、自身を支えてくれた全ての人への恩返しの気持ちも込める。

 新型コロナウイルス禍のためボッチャの練習は思った通り進んでいない。だが、リレーの大役を果たせば、徐々にピッチを上げていく構えだ。「2024年パリパラリンピック」に向かって。

(柳原一哉)

周藤穂香(しゅうとう・ほのか)】 平成4年4月、桐生市出身。ボッチャは障害が最も重い「BC3」クラス。「ランプ」と呼ばれる小さい滑り台のような勾配具を使い、競技アシスタントに指示して長さを調整するなどして投球する。28年の日本選手権で8強に入り、翌年度の強化指定選手に選ばれた。

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