リニア水問題、静岡への全量戻しに「12~20年」JR東海、山梨側からで見通し 長野側にも流出発生

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル静岡工区工事で発生する湧水が静岡県外に流出する問題で、JR東海は22日、山梨県側に流出が予測される同量を静岡県内に戻すには、12~20年かかるとの見通しを明らかにした。また長野県側に流出する湧水もあるとして山梨県側と同様、先行して掘削する作業用トンネル貫通後に、流出量と同量を戻すとの対策を初めて提案した。同日開かれた、国の有識者会議で明らかにした。

 静岡県内から山梨県側への湧水流出期間は、作業用トンネル貫通までの約10カ月間で、総量300万~500万トンと試算されている。同社の対策案は、10カ月間に一気に流れた湧水を何十年もかけて戻すもので、両県内の地下水や生態系に大きな影響を与えることが懸念される。同社は前回の会議で、山梨県側の工事で発生した湧水を貯めて、作業用トンネル貫通後に流出分と同量を事後にポンプで静岡県の大井川へと戻すと提案していたが、期間は言及していなかった。

 同社によると、山梨県内でのトンネル湧水量は現在、1キロ当たり毎分0・45トン。年間では約24万トンと推定される。それ以上を静岡側には戻せないため、300万~500万トンを戻すには12~20年かかる計算になる。同社は「(山梨県内での湧水量が)増減する可能性がある」としている。

 静岡県の難波喬司副知事は「(環境への)影響を回避するために戻すのだから、10年、20年かけてというのは実質的には戻したことにならない。ただ、戻す意思を示したことは評価したい」と感想を述べた。

 一方、長野県側への流出対策については「今回初めて出てきたので評価したい」としつつ、「山梨県側とは状況が異なるので、同じ方法を取らなければ水が戻せないということはないのでは」と指摘した。長野県側への流出総量は2万~20万トンと試算される。地質が異なるため山梨県側よりもはるかに少ない見込み。