農業の『未来創世記』:気候変動アクティビストのための、遺伝子とオーガニック再考

炭素隔離や水質保全、野生生物の保護に、大豆やニンジンの生産に費やされるのと同じだけの時間やコストが使われる未来なら、農業生産者が気候変動抑制の強力な推進者になる。そして消費者はオーガニックだけでなく、環境再生型やカーボンマイナス、野生生物の保護などさまざまな基準で食品を選ぶようになるだろう。

究極的には、助成金や規制ですべての農産物が安全で環境に配慮した手法で生産され、食品ラべルからこうした表示が消えるといい。農業が手段ではなく結果で判断されるようになれば、生産者は遺伝子操作技術や被覆作物、堆肥など、あらゆるものを組み合わせて活用していけるはずだ。

食糧システムの未来を思い描いていたら、お腹が空いてきた。家に着いて、テラノヴァ農場でもらったオレンジのニンジンとアダムチャクの畑で育った紫と白のニンジンを食べてみることにした。両方を混ぜてカリフォルニア産のオリーヴオイルを絡ませ、塩こしょうをしてオーヴンで焼く。とてもおいしくて、子どもたちにも大好評だった。

環境負荷の低減を目指す3つの研究

1.農業NPOのThe Land Instituteは、不耕起栽培できる多年性小麦を商品化した。土地を掘り起こすと二酸化炭素が大気中に放出され、地球温暖化が加速するが、不耕起栽培は農地を耕さずに作物を栽培できる。

2.カリフォルニア州にあるソーク研究所では、農作物の根に含まれるスベリンを増やすことで根を地中深くまで張らせる研究が行なわれている。スベリンはロウ状の物質で、炭素を吸着する性質をもっている。

3.複数の大学の研究者たちが、空気中の窒素を生育に利用する窒素固定作物の開発に取り組んでいる。この研究が成功すれば窒素肥料は不要になり、そこから発生する温室効果ガスの削減も期待できる。

少なからず希望を感じる3つの取り組み

1.米国はドナルド・トランプ政権下でパリ協定から離脱したが、複数の食品大手は農地保全と気候変動対策への投資を続ける方針を明らかにした。[編註:21年1月、ジョー・バイデン政権下でパリ協定に復帰している。]

2.NPO団体GreenWaveは、これまでに50以上の養殖場の設置に成功した。こうした環境修復型の養殖は食料を供給するだけでなく、海洋生態系の保護と炭素固定や窒素固定能力の向上にもつながるのだ。

3.ニューヨーク市の給食制度は全米でも最大規模で、100万人以上の児童・生徒が利用している。2019年から毎週月曜日には肉を使ったメニューを提供しない「肉なし月曜日(Meatless Mondays)」が始まった。